案の定という感じですが、FTの「編集権の独立」を懸念する声が上がっています。
記事では、2011年に起きたオリンパス粉飾決算事件について、自国の不祥事でありながら、彼らがFTやブルームバーグの後追い報道しかできなかったことを問題視。 言うまでもなく、現在は東芝の粉飾決算もありますので、こうした事態を日経がどう報道するかは、今後注目を集めていくでしょう。
あと個人的にダメだなと思ったのが、日経のこの記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H01_U5A720C1EAF000/
日本経済新聞社による英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の買収をめぐり、24日の閣議後の記者会見で閣僚から期待する声が相次いだ。菅義偉官房長官は「経済のグローバル化の波が日本のメディア業界にも押し寄せているのだろうと受け止めている」との認識を表明した。
甘利明経済財政・再生相は「日本メディアが世界的な経済メディアたるFTを傘下に収め、国際社会に日本の経済事情をより正確に発信できるようになることは喜ばしい」と述べた。
岸田文雄外相は「(FTは)国際的に影響力ある報道機関と承知している。注目している」と指摘。石破茂地方創生相は「グローバル化に対応した報道、日本経済をけん引する報道がなされていくとよい」との期待感を示し、約1600億円の買収額には「驚くような金額だ」と語った。
自画自賛的な内容はさておき、「国際社会に日本の経済事情をより正確に発信」みたいな政治家の不見識を無批判に載せるのは、どうなのかなあという所です。
つまり、現在の慰安婦問題とか歴史認識問題とかもそうですが、「日本の情報が正しく発信されれば、きっとみんな(僕たちの言い分を)理解してくれるんだ!」みたいな政治家の見解は、かなり短絡的な認識です。
FTとかは、こうした見解に対して、厳しい指摘をおこないますが、日経からそれを糾弾するような論説が出てくるとはあまり思えません。
いくつかの海外メディアで、日経は企業のプレスリリースを「特ダネ」することは得意だが、腐敗やガバナンスの欠如を「暴露」することは苦手、みたいなことが書かれていました。
こうした日経の「当たり障りのない(ように見えるただの無批判)記事」がつづくと、親会社に対して不信感を持つFT記者も増えそうな気もします。 このあたりをどう乗り越えるかが、日本のメディアとしての試金石になるかも。