東アフリカの国「タンザニア連合共和国。」人類発祥の地ともいわれているタンザニアですが、世界で最も貧しいといわれている国の一つでもあり、就学率の低さや、基礎インフラの整備の遅れが大変深刻な問題となっています。
国家として多くの問題を抱えていることもあり、日本などからはマイナスなイメージで語れることが多くなりがちなタンザニアですが、今、タンザニア発のニュースアプリ「M-Paper」が、大きな注目を集めています。
タンザニアの主要新聞を全編配信するアプリ「M-Paper」
「M-Paper」は、タンザニアの主要な新聞や雑誌(46紙)を、スマートフォンを通じて全編配信するアプリです。アプリのダウンロード自体は無料で可能ですが、ニュースや雑誌を全編購読するには、課金が必要になります(一面や表紙の試し読みは無料で可能です)
タンザニアではスマートフォンのシェアーの大半をAndroidが占めているというお国事情もあり、現在、「M-Paper」のダウンロードは、Googleストアからのみ可能となっています。(対応機種もAndroidのみ)
「M-Paper」が対応している言語は、タンザニアの国語であるスワヒリ語と、公用語として使われている英語です。
アプリを通じて配信されるコンテンツは、毎晩夜にユーザーに配信されており、紙媒体として翌朝に発行される前に、コンテンツとしてユーザーに配信されています。購読料の支払いはネット送金サービースを通じて行われる仕組みとなっています。
「M-Paper」を運営するタンザニアの大手IT企業、「Smart Codes」によると、アプリ公開後から二か月で4万ダウンロードを記録したとのことです。(タンザニアの人口は5,182万人、スマートフォン使用者数は290万人です)
また、11月に南アフリカで「Apps Africa Innovation Award」も受賞しており、国際的な注目度も高まっています。
アプリ成功の背景には、タンザニアが抱える問題も
欧米のメディアがデジタル化に舵を切りつつある中で、主要なニュースや雑誌を一つのアプリから配信できるというのは、テクノロジーやコンテンツの面だけに着目すれば、このタンザニア世界的に見ても先進的なアプリであると言えるかもしれません。
しかし、タンザニアはデジタルコンテンツの先進国なのかというと、実は単純にそうだとは言えない事情もあるのです。
実は、新聞の発行部数はここ10年で東アフリカ諸国では増加傾向にあります。新聞や雑誌等、紙のメディアからどんどん読者が離れている欧米に対し、東アフリカ諸国の都市部では過半数の人がまだ紙の新聞を読んでいます。インターネットを毎日使う習慣があるという人は都市部でも6%程度です。
タンザニアは、インフラの整備が進んでいないということもあり、発行した新聞を国全土に一斉に届けることができるということが困難です。そのため、新聞を発行されたその日に読むことができる人は都市部等限られた地域にしかいませんでした。そのため、新聞を一斉に広範囲で配信できるアプリのシステムは、新聞社側にとっても好都合だったという訳です。
タンザニアのスマホの普及率自体はまだ8%なので、決して高いとはいえませんが、モバイル技術の発達が、基礎的なインフラが充分整備にされているとはいえない開発途上国に住む人たちの情報環境の改善にも寄与しているということは、注目すべき点であるように思います。
参考記事
http://qz.com/558166/this-app-is-changing-the-way-tanzania-reads-the-news/
https://www.plan-japan.org/country/cop_tanz.html
http://mpaper.co.tz/faq.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/tanzania/data.html#section1
http://democracyinafrica.org/newspapers-way/