2019年よりディズニー社は、新作映画のNetflixに対する配信を停止すると発表し、独自のストリーミングサービスを始めることを明らかにしました。
ディズニー社はディズニー作品のみならず、スポーツ専門チャンネルのESPN、『スパイダーマン』や『アイアンマン』などのMarvel、『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』のPixar、そしてスター・ウォーズなどの権利を持っており、豊富なコンテンツが強みです。
Netflixの未来に暗雲?
現状では大きく2つの論調があります。1つはNetflixといえども、ディズニー作品の引き上げは打撃になるのではないかという懸念です。
BARRONSの主張によれば、同社はオリジナル作品をほとんど持っておらず、契約解除を通告された場合は為す術がなく、将来的にはAmazonやAppleなど、他のストリーミングサービスとの厳しい競争に晒されるということです。
同誌は、Netflix株が50%下落する可能性もあると述べており、かなり悲観的な見方をしています。
オリジナル作品は存在感
しかし一方で、反論するアナリストは大きく2つの理由から楽観的な見方をしています。
- 1つは、ディズニーの問題はアメリカ国内に限っている点です。同社の成長は、いまや国際展開によって支えられているため、今回の契約終了によって大きな影響が出るわけではないということです。
- もう1つは、Netflixも早くから問題を認識しており対応も十分だという点です。実際彼らは、30億ドルもの負債によってオリジナル作品への投資を進めており、2016年に最も検索された10番組のうち、5つはオリジナル作品でした。
リスク要因は2つ
ディズニーは2017年も『美女と野獣』にはじまり、『パイレーツ・オブ・カリビアン』および『スパイダーマン』シリーズ最新作の成功など、記録的なヒットを続けています。世界最大のコンテンツ・ホルダーとの契約終了は、限定的とは言えNetflixにとって間違いなく打撃となるでしょう。
しかしNetflixは、大手コミックス出版・Millarworldの買収など、積極的なコンテンツおよびIP獲得を進めており、中・長期的には正しい戦略を打っているため、クリティカルな問題を生むとは思えません。
むしろディズニー以上に大きなリスク要因は、大きく2つ考えられます。
- 1つはディズニーに限らず大手コンテンツ・ホルダーが、NetflixやAmazonなどに対して交渉力を強めることで競争が激化し、コンテンツの調達コストが上昇することです。
- そしてもう1つは、国際展開においてもインドのErosやアジアのIflixのように競合が成長していることで、Netflixの国際展開にとって障害になり得ます。
こうした点から、Netflixが一人勝ちしている現状からストリーミング・サービスの乱立という未来が想定されます。コンテンツが各サービスに分散することは消費者にとって望ましくなく、長期的には統合が進むでしょうが、それまではNetflixの株価にとって不安定な時期が続くかもしれません。