「仮想通貨から目を背けるべきではない」IMFのラガルド理事がコメント

テック, メディア

公開日 2017/10/01 03:37,

更新日 2017/10/01 03:37

無料記事

IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事がイングランド銀行主催のカンファレンスで、仮想通貨について「目を背けるべきではない」と語りました。

『仮想通貨・新たな金融仲介モデル・AIという3つのイノベーションがもたらすインパクト』というテーマで語られたスピーチの中で、ラガルド氏は、ビットコインを始めとした仮想通貨が現時点で既存の通貨に取って代わるようなものにはなっておらず、また中央銀行の機能を代替できるようなものではないとコメントしています。

課題があるからと言って仮想通貨を退けるべきでない

しかし一方で、急激に進んだモバイルシフトの例について『少し前には、専門家の中にも「パーソナルコンピューターが使われなくなるような事は決して有り得ず、タブレットは高価なコーヒートレイに使われるのがせいぜいだ」と語っている人もいた』と述べ、様々な課題を抱えているからといって仮想通貨を退ける(dismiss)ことが利口な事とは思わない、としています。

さらに、こうした状況にあって中央銀行が取るべき最良の姿勢は、生まれたばかりのアイデアや新たなに対してオープンでありながら効果的な金融政策を実施していくことだとしており、IMFに対する直接的な影響として「特別引出権(Special Drawing Rights, SDR)」について言及しています。

SDRは、米ドル、円、ユーロ、スターリングポンド、人民元の5つの通貨で構成され、加盟国の通貨危機などが起こった際に独自のレートに基づいて配分するためにIMFが管理している準備資産ですが、レガルド氏はこのSDRを将来的にデジタル化するような状況も視野に入れつつ、変化に対して柔軟である必要があると語っています。

金融業界でも別れる見解

第二次世界大戦以降、国際経済は米ドルを基軸通貨として発展を続けてきましたが、すでにアフリカの新興国などでは米ドルのような他国の通貨の代わりにビットコインを始めとする仮想通貨を導入する動きが出始めています。

最近では、J.P.モルガンのCEOがビットコインについて「詐欺的」であるとした一方で、モルガン・スタンレーのCEOが「単なる流行りではない」とコメントするなど、金融業界でも意見が分かれている仮想通貨ですが、国際通貨の元締めとも言うべきIMFの理事が比較的前向きなコメントを出したことで、今後さらなる注目を集めることになるかもしれません。

なお、今回のラガルド氏のスピーチは、IMFのウェブページ上で全文が公開されています。

この記事は、ライセンスにもとづいた非営利目的のため、あるいは社会的意義・影響力の観点から無料で提供されているコンテンツです。

良質なコンテンツを取材・編集して翻訳を届けるため、コンテンツをサポートをしてくださいませんか? みなさまのメンバーシップは、良質な記事をライセンスして届けるための重要な収益源になります。

メンバーシップについて知る
著者
The HEADLINE編集長。株式会社マイナースタジオを創業後、2015年に株式会社メンバーズ(東証一部)に企業売却。早稲田大学政治学研究科修士課程修了(政治学)。関心領域は、メディア論や政治思想など。Twitter : @ishiken_bot
おすすめの記事
政治・国際関係

マッキンゼーによる新型コロナウイルスによる世界経済への影響についてのメモ

無料記事

新型コロナウイルスについては、信頼できる正確なニュース・情報を日々手に入れることも重要だが、経済・社会的な影響について今後のシナリオを把握しておくことも求められる。その意味で、コンサルティング企業Mc···
石田健
政治・国際関係

AppleやNikeのサプライチェーンが関与するウイグル人強制労働。パナソニック、シャープ、SONYなど日本企業も

有料記事

以前の記事で、イスラム教徒として知られる少数民族・ウイグル人への中国政府による監視と管理について、歴史的起源を紹介した。昨年11月と今年の2月、ウイグル人への監視・管理について具体的な実態を記した文書···
金子侑輝
石田健
テック, メディア

TikTokのライバル、躍進するKuaishou(快手)

有料記事

以前の記事で、TikTokを運営する世界最大のユニコーンByteDanceの躍進について扱った。しかしそのTikTokには、中国国内における強力なライバルがいることは日本であまり知られていない。そこで···
金子侑輝
石田健
テック, メディア

デジタル・サブスクリプションが急成長するNew York Times、その決算と落とし穴

有料記事

日本でも大手新聞社が課金へと舵を切っており、日本経済新聞やNewsPciksなどが成功例として挙げられるが、世界的に見れば課金メディアとして最も成功を集めているのがNewYorkTimes(NYT)だ···
石田健
社会

韓国、衝撃の「n番の部屋」事件とは

無料記事

今月17日、韓国で衝撃を呼んでいる「n番の部屋」事件の首謀者として1人の男性が逮捕された。すでに筆者は、本事件について下記YouTube動画を公開しているが、動画では扱えなかった事件の全貌について、現···
石田健
政治・国際関係

フェミニズムとは何か?:なぜ女性の権利ばかりが主張されるのか

無料記事

わたしたちは、フェミニズムの時代に生きている。フェミニズムを時代性やブームのように捉えることに異論はあるかもしれないが、#MeTooムーブメントや韓国の書籍『82年生まれ、キム・ジヨン』のベストセラー···
石田健
テック, メディア

なぜMCNは死に、UUUMは成功したのか?

有料記事

The HEADLINEでもYouTubeチャンネルを開設しているが、加熱するYouTubeビジネスはどこに向かっていくのだろうか?5Gが本格化する中、動画ビジネスはますます伸びていきそうな気もするが···
石田健
編集長より

職が減っていく文系院生は、今後いかにサバイブしていくべきか

無料記事

将来を有望された研究者が、自ら命を絶つという痛ましい事件が話題を集めた。「家族と安定がほしい」心を病み、女性研究者は力尽きた:朝日新聞デジタル下記記事にある通り、この事件は経済的困窮を苦にしただけでな···
石田健
政治・国際関係

強制投票は実現可能か、それは”良いもの”か?

無料記事

HEADLINEでは、今秋より月額3,200円の有料会員サービスを開始します。この記事は、サービスの開始後は有料記事となる予定です。もし、この記事に"読むべき価値がある"と感じられたら、ぜひ記事下部か···
石田健