パパ活試論 - 2

公開日 2020/02/24 09:48,

更新日 2020/03/02 02:14

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前回述べたとおり、哲学者らは「売買春が倫理的に許されるのか?」という問題に、どのような説明を与えているのか?

彼らの説明は、大きく3つに分かれる。1つは売春婦たちの自由意志を尊重するリバタリアン的な立場、もう1つは彼女たちが売春をおこなわざるを得ない状況、中でも経済的背景などを問題視するリベラリズムの立場、そして最後にフェミニズムの立場だ。

まずリバタリアンは、よく知られているように個人の自由意志をもっとも重視する。彼らに言わせれば、個人が自らの臓器を売ろうが性を売ろうが、そこに他人が介入するべきではない。私的財産を侵害しない限り、時にはヤクの売人すらも擁護する。

一方でリベラリズムは、一部の売春婦が自由意志にもとづいて性を売っていることを認めつつも、売春婦の中には経済的困窮によってそれをせざるを得ない人々がいることを問題視する。十分な教育が受けられなかったり、何らかの不幸な事情によって選択せざるを得ない状況であることも、彼女たちが完全なる自由意志にもとづいてた行動をとっているわけではないことの証拠だと述べる。

パパ活の背景には、しばしば女子大生の経済的困窮や若者の貧困があると指摘されるが、リベラリズムの観点からパパ活が否定されるのは、こうした理由である。リベラリズムの擁護者にとって、援助する男性が批判される対象かは立場が分かれるものの、基本的に彼らはパパ活をおこなう女性ではなく、彼女たちが陥っている経済的状況を批判する。

そして最後のフェミニズムにおける議論は、少し複雑である。従来、売春は女性の抑圧を象徴する出来事だと見なされていたが、最近ではセックスワーカーの権利に焦点があたり、彼女たちの労働、そして自らの身体に関する自己決定をサポートすることは、女性のエンパワーメントにおいて重要だと認識されている。(たとえばメリッサ・ジラ・グラント『職業は売春婦』を見よ)

売春が本質的に家父長主義や男性による性的搾取と不可分だと考える人は未だ少なくないが、自らの労働に誇りを持っているセックスワーカーの権利や自己決定を尊重するのであれば、「彼女(ときには彼)らは、自らの犠牲や男性中心主義に気付いていない」と批判するよりも、それぞれの決定を尊重しつつ、その選択をした背景に目を向けるべきだろう。

このように哲学者たちの「売買春が倫理的に許されるのか?」への回答を見ると、問題はパパ活そのものの倫理的是非よりも、それが自己決定であるか?あるいは経済的困窮によって選択を余儀なくされたものであるか?が問題だと分かる。

とはいえ、これらは自明すぎる整理であり、それほど示唆的な論点が出てきたわけではない。次回、この点をもう少し踏み込んで考えていこう。
 

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著者
The HEADLINE編集長。株式会社マイナースタジオを創業後、2015年に東証一部上場企業に売却。早稲田大学政治学研究科修士課程修了(政治学)。関心領域は、メディア論や政治思想など。Twitter : @ishiken_bot
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