ポストCOVID-19の世界予測:今、欧州の知識人は何を語っているか?

政治・国際関係

公開日 2020/04/17 20:59,

更新日 2020/04/18 04:50

有料記事

『マリー・アントワネット』や『ジョゼフ・フーシェ』等の著書で知られるオーストリア出身の作家シュテファン・ツヴァイクは、1942年、ナチ政権からの亡命先で客死を遂げた。彼の死後出版された回想録は『昨日の世界』と題されている。かつて平和だった時代、コスモポリタンな共栄を信じることができた世紀末ウィーンの情景を「昨日の世界」として回顧した随想である。

2019年12月以降、我々の生活は一変した。新型コロナウイルスの感染者数の推移は今なお予断を許さず、長引く外出制限は一向に出口が見えない。経済活動の停止は、景気の拡大局面に終止符を打ち得るインパクトを有しており、すでに事業主やフリーランスを中心として、市民生活に甚大な影響を及ぼしつつある。格安航空券で世界中を飛び回り、経済成長の持続を素朴に期待することのできた時代は、もはや「昨日の世界」となってしまったのかもしれない。

こうした先が読めない状況の中、識者は何を語っているのだろうか。とりわけ、新型コロナウイルスの被害が顕著な欧州の知識人たちはどのような言葉を発しているのだろうか。彼らのメディア上における発言は、COVID-19以後の来たるべき情勢を予測するための指針となり得るはずだ。

トマ・ピケティ「必要なのは、オルタナティブな経済制度がいかなるものであるかを説明することだ」

ベストセラー『21世紀の資本』で知られ、不平等に主な関心を寄せる経済学者のトマ・ピケティは、フランスの左派週刊紙 L’Obs のインタビューに答えて「『経済体制を変えなければならない』という言表では不十分だ」と述べる。「必要なのは、オルタナティブな経済制度がいかなるものであるかを説明することである」。ピケティは歴史的事例を参照しながら、COVID-19以後の経済制度に関連して将来的に起こりうるシナリオを考察する。

続きを読む

この続き: 2,462文字 / 画像0枚

この記事の全文を読むためには、メンバーシップ(月額980円または3200円の定期購読)に参加していただくか、単品購入する必要があります。持続可能で良質なメディアをつくるため、下記のリンクよりメンバーシップについてご確認ください。(すぐに課金されることはないのでご安心ください

メンバーシップについて知る

または、記事を単体購入する

著者
東京大学文学部卒業後、同大学院にて修士号(文学)取得。現在はパリ社会科学高等研究院の博士課程に在籍中。専門は政治文化史・社会政策思想史。Twitter : @soichinagano
おすすめの記事

政治・国際関係

なぜ米軍はドイツから撤退しようとしているのか?

有料記事

米軍が、ヨーロッパ最大の駐留先であるドイツからの一部撤退を予定している。ドイツの西部・南部を中心にあわせて約3万5000人の米兵が駐留しているが、トランプ大統領はこのうち1万2000人を撤退させるとし···

政治・国際関係

なぜ米国や日本は、TikTokを禁止しようとしているのか

有料記事

米国で、TikTokなど中国製アプリの締め出しに関する議論が盛り上がる中、日本でも一部自民党議員から同様の声が上がり始めた。28日、自民党の「ルール形成戦略議員連盟」の会合において甘利明会長は「水面下···

政治・国際関係

ウイグル強制労働との関与指摘の中国企業、日本の大企業も取引先に

有料記事

7月20日、香港を拠点とする世界最大の織物シャツメーカーであるエスケル・グループ(溢達集團)の子会社である昌吉・エスケル・テキスタイル(Changji Esquel Textile)社が、米・商務省に···

政治・国際関係

国家安全法の後、香港で起きていること

有料記事

香港・国家安全法が成立した時、2つのシナリオが存在した。1つは法案が通った後、中国政府はしばらく様子を見て、大規模なデモ弾圧や逮捕には動かないという未来。もう1つは、すぐさま法律を積極的に適用していく···

社会

韓国、衝撃の「n番部屋」事件とは

無料記事

今月17日、韓国で衝撃を呼んでいる「n番の部屋」事件の首謀者として1人の男性が逮捕された。すでに筆者は、本事件について下記YouTube動画を公開しているが、動画では扱えなかった事件の全貌について、現···

人権・社会問題

フェミニズムとは何か?:なぜ女性の権利ばかりが主張されるのか

無料記事

わたしたちは、フェミニズムの時代に生きている。フェミニズムを時代性やブームのように捉えることに異論はあるかもしれないが、#MeTooムーブメントや韓国の書籍『82年生まれ、キム・ジヨン』のベストセラー···

政治・国際関係

強制投票は実現可能か、それは”良いもの”か?

無料記事

HEADLINEでは、今秋より月額3,200円の有料会員サービスを開始します。この記事は、サービスの開始後は有料記事となる予定です。もし、この記事に"読むべき価値がある"と感じられたら、ぜひ記事下部か···

政治・国際関係

AppleやNikeのサプライチェーンが関与するウイグル人強制労働。パナソニック、シャープ、SONYなど日本企業も

有料記事

以前の記事で、イスラム教徒として知られる少数民族・ウイグル人への中国政府による監視と管理について、歴史的起源を紹介した。昨年11月と今年の2月、ウイグル人への監視・管理について具体的な実態を記した文書···

政治・国際関係

ポリティカル・コレクトネスの時代とその誤解:なにが「ポリコレ疲れ」を生んでいるのか?

無料記事

アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利したことは、全世界で多くの衝撃を持って受け止められている。なぜトランプが勝利したのか?あるいは、なぜ事前調査で優勢と見られていたヒラリー・クリントンが敗北し···