石原伸晃環境相の「金目」発言が生まれた、福島における中間貯蔵施設の建設とは?

政治・国際関係

公開日 2014/06/23 22:25,

更新日 2014/06/23 22:25

無料記事

石原伸晃環境相が、東京電力福島第一原発事故の除染によって生じた汚染土などを保管する中間貯蔵施設について、「最後は金目(かねめ)でしょ」と発言した問題について、石原氏が23日に福島県を直接訪れて謝罪することが明らかとなった。

自民党政権によって生み出し続けられた原発神話への反省や、この期に及んで原発を輸出することへの迷い、現在も故郷を離れた暮らしを余儀なくされた地元住民への想像力などを一切感じさせないような発言であり、地元では反発が強まっている。

この発言の背景にある中間貯蔵施設の建設とは、なんだろうか?

福島県に中間貯蔵施設を建設

そもそもこの中間貯蔵施設とは福島第1原発事故によって発生した除染廃棄物を一時的に保管するためのもので、その候補地として福島県双葉町と大熊町があがっている。

しかし、国の説明には不満が集まっており、「説明責任が果たされていない」として、両町は不満を募らせている。国は、施設の安全性や地域振興策などの地元側の質問に対して、明確に回答できていないとされており、納得が得られるには時間がかかりそうだ。

加えて、最終処理場の候補地となっている宮城についても、決定がされておらず、廃棄物が最長で30年間保管されるという計画についても、実現性に疑義が投げかけられている。

地元の思いを踏みにじる発言

福島では現在でも原発事故による避難生活が続いており、両町でおこなわれた説明会においても、中間貯蔵施設の建設に際しては、こうした住民の感情に配慮するべきだという指摘もあった。

すでに個々の説明会においても住民の不満は強まっているにもかかわらず、中間貯蔵施設の建設をめぐって地域への説明に責任を持っている大臣が「金目」だと発言したことの意味は大きい。地元へ強い想いを持っており、国や東京電力の誤りによって生じた事故の被害を一手に背負わされている住民を侮辱するだけでなく、原発によって今後も生じるであろう様々な問題—それは地元住民ばかりではなく国民全体に大きく関わってくるだろう—を最終的には金で解決できると考えていることを計らずとも露呈させてしまった石原大臣は、今後どのように原発政策を進めていくのだろうか。

この記事は、ライセンスにもとづいた非営利目的のため、あるいは社会的意義・影響力の観点から無料で提供されているコンテンツです。

良質なコンテンツを取材・編集して翻訳を届けるため、コンテンツをサポートをしてくださいませんか? みなさまの有料購読は、良質な記事をライセンスして届けるための重要な収益源になります。

月額3,200円で有料購読をはじめる
著者
株式会社マイナースタジオ代表取締役CEO。同社を創業後、2015年に株式会社メンバーズ(東証一部)に企業売却。早稲田大学政治学研究科修士課程修了(政治学)。関心領域は、メディア論や政治思想など。Twitter : @ishiken_bot
おすすめの記事
テック, メディア

2019年、中国メディア市場の動向:ByteDanceの躍進と注目のOOH

有料記事

中国の調査会社R3によるメディアレポート「China Media Inflation Trend Report」が11月21日に公開された。TikTokなどを展開するByteDanceらの躍進に注目が···
石田 健
政治・国際関係

ニュース解説:カリフォルニア州雇用法案AB-5の成立は、「搾取との闘い」か?

有料記事

9月18日、米カリフォルニア州で、ギグ・エコノミーの労働者をこれまでの「独立した請負労働者」ではなく、「従業員」として再分類する可能性のある法案が成立した。2020年1月1日より施行予定の同法案は、上···
塚本 大
政治・国際関係

ナイジェリア国民、南アフリカから一斉退避:その背景は?

有料記事

南アフリカの最大都市ヨハネスブルクや首都プレトリアなど起きた移民排斥を背景とする暴動によって、アフリカの二大経済大国であるナイジェリアと南アフリカに緊張が生じている。暴動が激化する中、9月9日にナイジ···
石田 健
政治・国際関係

なぜ平和の少女像を「日本国民の心を踏みにじる行為」と感じる人びとがいるのか?

無料記事

国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画「表現の不自由展・その後」をめぐって、現在も議論が続いている。混乱の発端には、平和の少女像の存在もあった。一部の政治家は、平和の少女像が展示されることを···
石田 健
政治・国際関係

フェミニズムとは何か?:なぜ女性の権利ばかりが主張されるのか

無料記事

わたしたちは、フェミニズムの時代に生きている。フェミニズムを時代性やブームのように捉えることに異論はあるかもしれないが、#MeTooムーブメントや韓国の書籍『82年生まれ、キム・ジヨン』のベストセラー···
石田 健
編集長より

職が減っていく文系院生は、今後いかにサバイブしていくべきか

無料記事

将来を有望された研究者が、自ら命を絶つという痛ましい事件が話題を集めた。「家族と安定がほしい」心を病み、女性研究者は力尽きた:朝日新聞デジタル下記記事にある通り、この事件は経済的困窮を苦にしただけでな···
石田 健
政治・国際関係

ポリティカル・コレクトネスの時代とその誤解:なにが「ポリコレ疲れ」を生んでいるのか?

無料記事

アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利したことは、全世界で多くの衝撃を持って受け止められている。なぜトランプが勝利したのか?あるいは、なぜ事前調査で優勢と見られていたヒラリー・クリントンが敗北し···
石田 健
政治・国際関係

文化の盗用とは何か:所有/簒奪という二項対立を乗り越える

無料記事

文化の盗用、あるいは文化の簒奪と訳される「Cultural Appropriation」という概念が注目を集めている。6月25日、アメリカの著名セレブであるキム・カーダシアンが「Kimono」と名付け···
石田 健
政治・国際関係

ニュージーランドの移民政策:経済的事情とリベラルな国家、そして移民抑制

無料記事

十分な時間が経過していないため、断定することは危険性があるものの、白人至上主義者によるムスリムを標的としたヘイトクライムという見方が強まっている。この事件を理解するためには、ニュージーランドの移民政策···
石田 健