FTの「編集権の独立」を懸念する声が相次ぐ:日経のオリンパス報道も引き合いに

テック, メディア

公開日 2015/07/26 09:03,

更新日 2015/07/26 09:03

無料記事

案の定という感じですが、FTの「編集権の独立」を懸念する声が上がっています。

記事では、2011年に起きたオリンパス粉飾決算事件について、自国の不祥事でありながら、彼らがFTやブルームバーグの後追い報道しかできなかったことを問題視。 言うまでもなく、現在は東芝の粉飾決算もありますので、こうした事態を日経がどう報道するかは、今後注目を集めていくでしょう。

あと個人的にダメだなと思ったのが、日経のこの記事です。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H01_U5A720C1EAF000/

日本経済新聞社による英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の買収をめぐり、24日の閣議後の記者会見で閣僚から期待する声が相次いだ。菅義偉官房長官は「経済のグローバル化の波が日本のメディア業界にも押し寄せているのだろうと受け止めている」との認識を表明した。  

甘利明経済財政・再生相は「日本メディアが世界的な経済メディアたるFTを傘下に収め、国際社会に日本の経済事情をより正確に発信できるようになることは喜ばしい」と述べた。  

岸田文雄外相は「(FTは)国際的に影響力ある報道機関と承知している。注目している」と指摘。石破茂地方創生相は「グローバル化に対応した報道、日本経済をけん引する報道がなされていくとよい」との期待感を示し、約1600億円の買収額には「驚くような金額だ」と語った。

自画自賛的な内容はさておき、「国際社会に日本の経済事情をより正確に発信」みたいな政治家の不見識を無批判に載せるのは、どうなのかなあという所です。

つまり、現在の慰安婦問題とか歴史認識問題とかもそうですが、「日本の情報が正しく発信されれば、きっとみんな(僕たちの言い分を)理解してくれるんだ!」みたいな政治家の見解は、かなり短絡的な認識です。

FTとかは、こうした見解に対して、厳しい指摘をおこないますが、日経からそれを糾弾するような論説が出てくるとはあまり思えません。

いくつかの海外メディアで、日経は企業のプレスリリースを「特ダネ」することは得意だが、腐敗やガバナンスの欠如を「暴露」することは苦手、みたいなことが書かれていました。

こうした日経の「当たり障りのない(ように見えるただの無批判)記事」がつづくと、親会社に対して不信感を持つFT記者も増えそうな気もします。 このあたりをどう乗り越えるかが、日本のメディアとしての試金石になるかも。

この記事は、ライセンスにもとづいた非営利目的のため、あるいは社会的意義・影響力の観点から無料で提供されているコンテンツです。

良質なコンテンツを取材・編集して翻訳を届けるため、コンテンツをサポートをしてくださいませんか? みなさまのメンバーシップは、良質な記事をライセンスして届けるための重要な収益源になります。

メンバーシップについて知る
著者
The HEADLINE編集長。株式会社マイナースタジオを創業後、2015年に株式会社メンバーズ(東証一部)に企業売却。早稲田大学政治学研究科修士課程修了(政治学)。関心領域は、メディア論や政治思想など。Twitter : @ishiken_bot
おすすめの記事
政治・国際関係

AppleやNikeのサプライチェーンが関与するウイグル人強制労働。パナソニック、シャープ、SONYなど日本企業も

有料記事

以前の記事で、イスラム教徒として知られる少数民族・ウイグル人への中国政府による監視と管理について、歴史的起源を紹介した。昨年11月と今年の2月、ウイグル人への監視・管理について具体的な実態を記した文書···
金子侑輝
石田健
政治・国際関係

アフター・コロナに何が起きるか:『サピエンス全史』ハラリの見解と国際社会の変化

有料記事

今月18日、筆者も出演したTV番組『AbemaPrime』において詫摩佳代・首都大学東京准教授が、「新型コロナウイルスをめぐって米中対立が拡大する中、国際協調が重要である」と指摘していた。国境を超えて···
石田健
テック, メディア

TikTokのライバル、躍進するKuaishou(快手)

有料記事

以前の記事で、TikTokを運営する世界最大のユニコーンByteDanceの躍進について扱った。しかしそのTikTokには、中国国内における強力なライバルがいることは日本であまり知られていない。そこで···
金子侑輝
石田健
テック, メディア

デジタル・サブスクリプションが急成長するNew York Times、その決算と落とし穴

有料記事

日本でも大手新聞社が課金へと舵を切っており、日本経済新聞やNewsPciksなどが成功例として挙げられるが、世界的に見れば課金メディアとして最も成功を集めているのがNewYorkTimes(NYT)だ···
石田健
社会

韓国、衝撃の「n番の部屋」事件とは

無料記事

今月17日、韓国で衝撃を呼んでいる「n番の部屋」事件の首謀者として1人の男性が逮捕された。すでに筆者は、本事件について下記YouTube動画を公開しているが、動画では扱えなかった事件の全貌について、現···
石田健
政治・国際関係

フェミニズムとは何か?:なぜ女性の権利ばかりが主張されるのか

無料記事

わたしたちは、フェミニズムの時代に生きている。フェミニズムを時代性やブームのように捉えることに異論はあるかもしれないが、#MeTooムーブメントや韓国の書籍『82年生まれ、キム・ジヨン』のベストセラー···
石田健
テック, メディア

なぜMCNは死に、UUUMは成功したのか?

有料記事

The HEADLINEでもYouTubeチャンネルを開設しているが、加熱するYouTubeビジネスはどこに向かっていくのだろうか?5Gが本格化する中、動画ビジネスはますます伸びていきそうな気もするが···
石田健
編集長より

職が減っていく文系院生は、今後いかにサバイブしていくべきか

無料記事

将来を有望された研究者が、自ら命を絶つという痛ましい事件が話題を集めた。「家族と安定がほしい」心を病み、女性研究者は力尽きた:朝日新聞デジタル下記記事にある通り、この事件は経済的困窮を苦にしただけでな···
石田健
政治・国際関係

強制投票は実現可能か、それは”良いもの”か?

無料記事

HEADLINEでは、今秋より月額3,200円の有料会員サービスを開始します。この記事は、サービスの開始後は有料記事となる予定です。もし、この記事に"読むべき価値がある"と感じられたら、ぜひ記事下部か···
石田健