ワシントンD.C.以外への支局開設(ニュージャージー州など)や、ブリュッセルやロンドンを拠点としたヨーロッパでの事業拡大など、「ワシントンのニッチな政治メディア」から徐々に変貌を遂げつつある政治新興メディア「Politico」。
そんなPoliticoが、共和党の議員の側近や知事選などで選挙スタッフを勤めてきたブラッド・デイアスプリング氏をコミュニケーション部門の初代ヴァイスプレジデントとして迎え入れることを発表しました。
国際的なメディアとして成長するためのステップ
PoliticoのCOO(最高執行責任者)であるキム・キングスリー氏は、社員に宛てに送ったメモの中で、Politicoのコミュニケーション部門の社員たちが、創刊以来9年間、「Politicoのブランドや素晴らしいジャーナリズムを発信するめに、素晴らしい仕事をしてくれている」とした上で、以下のように述べています。
「私たちは、野心的な成長戦略の下、既に世界五カ国、全米の六つの州で支局を展開しています。私たちはこれから、国際的なメディアとしての地位を確率するために、そして事業として成功させていくために、新たな段階に進む必要があります。」
デイアスプリング氏は今後Politicoの広報を始め、外部への発信を統括することになると思われます。
ブラッド・デイアスプリング氏の経歴
デイアスプリング氏は、一期目のブッシュ政権の下で、2001年から2004年まで3年間広報関係の職を勤めた後、共和党のクリストファー・スミス下院議員のコミュニケーションディレクター等を経て、2009年からエリック・カンター下院議員(共和党)の報道官、カンター議員が2010年に院内総務に就任した際、副主席補佐官に任命されます。
しかし、カンター議員の他の側近と意見が対立し、2012年に主副席補佐官を辞職。
2013年の1月から今年の5月までは、共和党上院全国委員会のコミュニケーションディレクターを務めました。デイアスプリング氏はまさにこの十数年、共和党のコミュニケーションストラテジストとして活躍して第一線に立ってきたといえるでしょう。
キングスリー氏はこれらの経験を踏まえ、「Politicoも選挙の候補者のように、一貫した明確なメッセージを適切な形で発信していく必要があり、そのためには戦略が必要です。ブラッドはその戦略を立てる仕事をやるために生まれてきたと言っても過言ではないでしょう」と、デイアスプリング氏を賞賛しています。
デイアスプリング氏「今度はこれまでは逆側のテーブルの席に」
デイアスプリング氏は、ニューヨーク・タイムズの取材に対し、「これまで私が愛してきた政治と政策立案の世界から、今度はその世界のことを報道機関で発表できるというのは、私の経験を上手く発揮できる機会だ。15年間身を置いた政治の世界を、これまでとは逆側のテーブルの席から見つめて発信していく仕事を楽しみにしている。」とコメントしています。
ワシントンの中枢にいた人物が、ワシントンのネットメディアへ。新興メディアのアメリカ政界における存在感は、今後もどんどん大きくなっていくのでしょう。
参考記事
http://www.nytimes.com/politics/first-draft/2015/11/19/politico-hires-brad-dayspring-veteran-g-o-p-operative-as-spokesman/
https://www.linkedin.com/in/bdayspring
http://www.politico.com/blogs/on-media/2015/11/brad-dayspring-joins-politico-216093