⏩ 7日、パレスチナのハマス側がロケット弾を発射
⏩ イスラエル側が報復を開始、死者は増え続け9日には1,500人超え
⏩ 欧米諸国は一致してハマスを非難するが、足並みの乱れも
2023年10月7日(現地時間)、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が、イスラエルに対して前例のない攻撃を開始した。ハマスは、アメリカ、イギリスをはじめとする数十の国からテロ組織に指定されている。
イスラエル側も翌日には宣戦布告をおこない、報復攻撃を始めたことで戦闘は激化している。
イスラエルとハマスによる衝突の背景は、両者の長年にわたる争いの歴史を振り返る必要があるため、詳細には立ち入らない。本記事では、先週末から始まった一連の戦闘が、どのように始まり、現在どのような状況に至っているかを概観していく。
7日:始まりはロケット弾の発射
10月7日午前6時35分(イスラエル現地時間)、ハマスがイスラエルに向けてロケット弾の発射を始めた。同日は、ユダヤ教の安息日とシムハット・トーラーという祭日にあたる日だった。
ハマスの軍事部門エゼディン・アル・カッサム旅団のモハメッド・デイフ(Mohammed Deif)司令官は、「アルアクサ・ストーム」(Al-Aqsa Storm)と称する作戦における当初の攻撃で、5,000発のロケット弾を発射したという。なおイスラエル国防軍は、その数を2,200発だったと主張している。
ハマスのハレド・カドミ(Khaled Qadomi)報道官は、今回の作戦が実行された経緯について、イスラム教の最も聖なる地の1つ、エルサレムのアルアクサ・モスクにおいて、イスラエルの政治家および入植者らが繰り返してきた挑発と、パレスチナ人が受けた数十年にわたる暴力と差別に対抗することが目的だと説明する。
イスラエルと米国の当局者らによれば、イスラエルの諜報機関は、今回のハマスによる大規模な攻撃の兆候を掴んでいなかったという。ハマスは、イスラエルの防空システム「アイアン・ドーム」の脆弱性について研究していたほか、新型のミサイルシステムを利用するなどして、防空体制をかいくぐることに成功したと見られている。
ハマス軍事部門エゼディン・アル・カッサム旅団が公開した映像より(Telegram)