気候変動がメンタルヘルスに及ぼす影響とは?エコ不安症の問題化

公開日 2021/06/11 17:56,

更新日 2021/06/11 18:02

有料記事 / 社会問題・人権・環境

  • 目次
  • 気候変動がメンタルヘルスに与える影響
  • エコ不安症を抱えやすい人はどのような人か?
  • エコ不安症を抱える人はどれほどいるのか 有料
  • エコ不安症への対処法 有料

4月20日、気候変動に対する不安を抱える人が増加していることが、英The Guardian紙によって報じられた。同紙は、実際に不安を抱える人の例を挙げている。

ワシントンを拠点に活動する精神科医アンドリュー・ブライアント氏が、気候変動に対して不安を抱える患者を初めて診察したのは、2016年のことだったという。その患者は、子どもを授かるかどうかに苦悩していた。患者のパートナーは子どもを産むことを望んでいたものの、患者自身は、子どもが成長した後の気候変動が進んだ世界を想像せずにはいられない、という不安感を訴えたとしている。

このように、気候変動に対する不安感を抱く人が現実に存在することは事実だが、気候変動はメンタルヘルスに対して具体的にどのような影響を与え、どれほどの人が不安感を抱いているのだろうか

そして、こうした症状への対処法はあるのだろうか。

気候変動がメンタルヘルスに与える影響

まず、気候変動がメンタルヘルスに与える影響にはどのようなものがあるのか見ていこう。

米国精神医学会(APA)によると、気候変動または気候変動が引き起こす災害は、不安症や慢性的で重度の精神疾患を引き起こす

具体的には、洪水や長期の干ばつは、不安・うつ・心的外傷後ストレス障害(PTSD)のレベルの上昇と関連がある。家や仕事を失い、自身のコミュニティから切り離されるなど、気候変動が引き起こす災害によるトラウマや喪失感も、うつや不安の原因となる。

災害がメンタルヘルスに影響を与えたことを示唆するデータも明らかになっている。米国で発生した過去4回のハリケーン(1992、2004年、2008年、2005年)で実際に被災した子どもたちを対象にした、異なる研究データをまとめたところ、6歳から16歳までの子ども1,700人のうち、10%が震災後に慢性的な心的外傷後ストレス障害を抱えていたという。そして、子どもたちの過半数が中程度の心的外傷後ストレス障害を経験した

行動や身体的健康にも影響

また、気候変動が引き起こす異常気象はメンタルヘルスへの影響に留まらず、人間の行動や身体的健康にも影響を与えるとされている。たとえば、異常気象に不安感を抱えることで、家庭内暴力の増加など、個人が属するコミュニティ内での攻撃的な行動につながる。人間が異常な暑さにさらされると、ストレスに対処するためにアルコール摂取量が増えたり、精神疾患を持つ人の診察や救急外来への入院、自殺などが増えたりする可能性もあるという。

さらに、人口移動、食糧不足、雇用や社会的支援の喪失、マラリアなどの寄生虫感染症の増加、大気汚染など、気候変動が引き起こす災害だけでなく、長期的にもたらす事象がメンタルヘルスの影響を及ぼす可能性がある。

心理学の専門家はこうした不安感が現れる理由について、気候変動に対する脅威を認識しているものの、それに対して何をすべきかわからない場合、人々はさらに無力感を感じ、ストレスや不安の増大につながる可能性がある指摘する

「エコ不安症」として認識されるように

このような症状を訴える人が現れ始めたのは2007年頃からだとされているが、APAは2017年にこの症状を「エコ不安症(ecoanxiety)」として「環境破壊に対する慢性的な恐怖」と定義づけた。なお、エコ不安症は正式に認定された精神疾患ではない

エコ不安症を抱えやすい人はどのような人か?

エコ不安症を抱える人はどのような人で、どれほど存在するのだろうか。気候変動によりメンタルヘルスに影響を受けやすい人は、次のような人だとされている

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群馬大学理工学部化学・生物化学科で、環境に配慮したプラスチック(バイオマスプラスチック)について研究。卒業後、ライターとして活動。関心領域は、環境問題をはじめとする社会課題やメディアなど。Twitter:@more_yuka
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