a group of people standing around a display of cars(P. L., Unsplash) , Illustration by The HEADLINE

EV大手・BYDとは何か?日本参入の中国企業

公開日 2022年08月03日 15:57,

更新日 2023年09月19日 10:08,

有料記事 / アジア / ビッグテック

中国・深圳の自動車メーカーBYD(比亜迪、ビーワイディー)が、乗用EV(電気自動車)で日本進出することを発表した(*1)

同社は日本における販売企業としてBYDオートジャパン(​​100%出資の子会社)を設立し、2023年から3つのEVモデルを投入する。まずはミドルサイズの多目的スポーツ車(SUV)タイプである「ATTO3」、続いてセダンやコンパクトタイプといった他モデルを販売する。さらに2025年末までに、日本国内で100を超える販売店網を整備する予定だ。

BYDは、EV販売で米・Teslaに次ぐグローバル2位につけている企業だが、すでに日本に進出しているTeslaと比べて、必ずしも知名度は高くない。

では、EV業界における中国のリーダー的存在であるBYDはどのような企業で、いかなる強みを持っているのだろうか?また、日本進出の狙いや影響についても見ていく。

(*1)EVは電気を動力として動く車両全般を指すが、一般的にはバッテリー電源のみを使用して走行するBEV(Battery Electric Vehicle」)をEVと呼ぶことが多い。そのためコンセントを通して外部から充電するPHEV・PHV(プラグインハイブリッド車)はEVに含める場合と含めない場合がある。ただし本記事では、参照する統計などの定義に従い、PHEV・PHVも含めてEVとして解説する。

BYDとはどのような企業か

まず、BYDのビジネスや成り立ち、創業者などを見ていこう。

時価総額20兆円の中国EVメーカー

BYDは、中国におけるEV最大手であり、グローバルではTeslaに次ぐ販売台数第2位のEVメーカーだ。今年6月には時価総額で独・Volkswagen(フォルクスワーゲン)を抜き、Teslaとトヨタに次ぐ自動車業界3位に上り詰めた。現在の時価総額は、1,288億ドル(約16兆7,400億円)となっている

同社の事業は順調に成長を見せており、2021年の売上高は2,161億4,200万元(約4兆1,500億円)、純利益は30億4,500万元(約580億円)だったトヨタ(売上高約31兆円)やTesla(売上高6.2兆円)の後塵を拝しているものの、売上高は前年比38%増と大きく伸びている。

2010年以降の売上高推移を見ても、BYDの成長は著しい。2013年まで400億元台を突破できずにいた同社だが、3年後の2016年には1000億元を達成した。さらに2021年には、販売台数で前年比218%と大幅な増加を実現し、売上高を1年で500億元積み上げた。その結果、過去5年間で売上高は2倍以上に成長している。

貧農出身の王伝福氏が創業

BYDは、1995年に王伝福(ワン・チュアンフー)氏によって創業された。王氏は1966年に中国・安徽省の貧しい農家に生まれ、早くに両親を失うなど苦しい家庭環境の中で育った。

王伝福
王伝福(Alexander-93, CC BY-SA 4.0

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✍🏻 著者
オーフス大学映像人類学修士課程
The HEADLINEリサーチャー. オーフス大学(デンマーク)映像人類学修士課程. 関心領域は、テクノロジーと文化、ケア、身体性等. 映像やサウンドなどを活用した多感覚エスノグラフィ、デザイン領域への応用などを試みている.
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