暗号資産市場が大きな動きを見せている。暗号資産(仮想通貨)大手取引所・FTXの取り付け騒ぎと、それに伴う競合の大手取引所・Binanceによる買収方針の表明および撤回、そして経営破綻に該当する連邦破産法11条(チャプター11)の申請が、わずか数日で立て続けに起こったからだ。
なぜFTXは窮地に陥り、なぜBinanceは一度合意した買収を取りやめたのだろうか?そして破産申請を受けて連鎖倒産なども懸念される中、今後、暗号資産市場へはどのような影響があるのだろうか?
何が起きたのか?
まずは今回の騒動が起きるまでの経緯を、時系列で整理していこう。
関連企業の財務情報がリーク
事の発端は、大手暗号資産メディア Coindesk によって今月2日、FTX の姉妹企業の暗号資産トレーディング企業 Alameda Research(アラメダ・リサーチ、以降アラメダ)の財務情報がリークされたことだ。
具体的には、アラメダが保有する資産146億ドルのうち50億ドル以上が、流動性の低い FTXトークン(FTT)(*1)で占められているという内容だった。FTTとは FTX によって発行される暗号資産の一種であるため、アラメダの資産のうち現金などの割合が少ないため、暗号資産の価格変動などに影響を受けやすい、脆弱な資産構成だったと言える。
つまり、名目上は別会社であった FTX とアラメダが密接に関係しており、その FTX の信用に依存した資産を担保として多額の借入などを行なってきたアラメダの信頼性に疑義が向けられたのだ。