SoftBank Vision Fund(SVF)から2018年7月、評価額5億ドルで2億4000万ドルを受けとったBrandlessが、事業閉鎖に至った。WeWorkやWag!などSVFの投資先には苦戦をつづける企業が多いが、事業閉鎖に至ったのは初めてだ。これにより同社は、従業員70名を解雇、10名は処理が完了していない注文に対応しながら、残りの資産売却のため動く予定だ。
Brandlessの事例は、SFVが直面している様々な問題の1つとも見なされるが、一方でWalmartの元COOを起用して成長を遂げていた(と信じられていた)Brandlessがなぜ失敗したのか?という疑問も残る。
迷走を続けていた同社
オーガニック、D2C、ポップアップ、アンチAmazon、実店舗を持たないECなど、近年のバズワードが詰め込まれたBrandlessが迷走を続けていたことはよく知られている。創業者ティナ・シャーキーがCEOを更迭された後、WalmartでCOOを務めていたジョン・リッテンハウスが選ばれた。
The Informationによれば、ソフトバンクはBrandlessに対して利益を出すよう圧力をかけ、投資家と経営陣の緊張関係は、シャーキー元CEOの退任へと繋がった。同社は2019年初めに13%のスタッフを解雇したが、それ以前から商品の品質や在庫管理に問題を抱えており、コストカットだけで問題が解決されるわけではなかった。
AmazonによるWhole Foods Marketsの買収や、WalmartによるJet.comの買収などにより、市場環境は激化。同社は、こうした変化に対応することができないまま、自社の中核的な価値を崩していくことになる。
ベビー用品のHonestやマットレスのCasper、眼鏡のWarbyParkerと異なり、Brandlessは幅広いSKUを抱えており、質の担保が出来ないまま拡大路線のジェットコースターに乗ってしまったのだ。