政府は3月9日、プラスチックごみの削減やリサイクルに向けた新法案を閣議決定し、2022年4月の施行を目指すことを発表した。同法案には、使い捨てプラスチックを大量に無料提供している事業者に削減義務を課すことなどが盛り込まれており、コンビニのプラスチックスプーンやホテルのアメニティなどが対象として想定されている。
小泉進次郎環境相は同日の会見で、同法律案が成立して施工されれば、レジ袋有料化と同様に、使い捨てスプーン・フォークなどが無料かつ無条件で顧客に配られることも無くなっていくとの考えを示した。
レジ袋有料化がすでに実施され、使い捨てスプーン・フォークなどの有料化も検討されていることから、プラスチック削減に向けた動きが加速しているのは事実だが、こうした取り組みは地球にとってどれほど効果的なのだろうか。
レジ袋やスプーンの有料化の焦点
そもそも、レジ袋や使い捨てスプーン・フォークなどの有料化の焦点は何なのだろうか?
すでに実施されているレジ袋有料化については、「レジ袋が本当に必要か考え、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすること」が目的だと政府は発表している。つまり、プラスチックごみ削減や地球温暖化抑制につながるとは言及して"いない"のだ。それでは、今後検討されている使い捨てスプーン・フォークなどの有料化の目的はどうだろうか。
カーボンニュートラルとの関連
レジ袋に続いてスプーンやフォークの有料化を検討する理由について、小泉環境相はカーボンニュートラルの観点から訴えている。具体的には、「プラスチックの原料って石油なんですよね」とした上で、「石油って化石燃料で、この、化石燃料。石炭、石油、天然ガス、これに依存して人間の経済社会活動が営まれる時代を変えようっていうのが、カーボンニュートラル」だと述べる。
カーボンニュートラルとは、CO2排出削減の努力をするとともに、削減が困難な部分の排出量については他の場所での排出削減・吸収量でオフセット(埋め合わせ)する取り組みだ。すなわちCO2排出量が「実質」プラスマイナスゼロになることを意味する。その一環として、化石燃料から再生可能エネルギーに転換することも重要となる。
プラスチックの削減で、その生成・処理に伴う化石燃料およびCO2排出量をできる限り削減するという観点から見れば、今回の有料化はカーボンニュートラルへの取り組みの一つとも捉えられる。
しかし、有料化の一番の目的がカーボニュートラル実現のためとは言い難い。