ビッグテックはなぜセキュリティ企業を次々と買収しているのか?Googleは史上2番目の巨額買収

公開日 2022年04月08日 16:27,

更新日 2022年04月19日 17:36,

有料記事 / テクノロジー

3月8日、Googleがサイバーセキュリティ企業Mandiant(マンディアント)を買収することを発表した。買収額は54億ドル(約6600億円)で、Google史上2番目の巨大な買収となる。

サイバーセキュリティ分野に関心を寄せているのは、Googleだけではない。近年、ビッグテック(巨大IT企業)によるサイバーセキュリティ企業の買収は増加しており、21年にはGAFAM(*1)と呼ばれる5社が買収に費やした金額は、約24億ドルにものぼっている

ビッグテックは近年どのようにサイバーセキュリティ企業にアプローチしており、なぜ競うようにして買収攻勢をかけているのだろうか?

(*1)Google(Alphabet)、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Amazonの5社

2021年のサイバーセキュリティ投資額は過去最高を記録

ビッグテックによるサイバーセキュリティ分野への投資の実際について確認していこう。

まず、GAFAMと呼ばれる5社が同分野で買収に使った金額/企業数の合計は、過去6年間に渡って、およそ右肩上がりに増加している

特に2021年の投資額は過去最大となっており、前年比で3.3倍、18億ドル増となる約24億ドルを記録した。買収件数については、2018年から増加傾向にあり、2021年には23件(1社平均4.6件)もの買収がおこなわれている。

ビッグテックによるサイバーセキュリティ分野への投資は、件数・金額ともに年々増加しているStatista

Googleは史上2番目の巨額買収

このような状況の中、Googleは3月8日、サイバーセキュリティ企業であるMandiantを約54億ドルで買収する意向を発表した

これは、ビッグテックによるサイバーセキュリティ分野での買収として近年最大のものだ。54億ドルという金額は、Googleの史上2番目の企業買収額でもある(*2)。そして、3月時点ですでに、GAFAM5社による同分野への昨年の投資額24億ドルのおおよそ2倍にあたる金額が費やされたことにもなっている。

Mandiantは、2004年に設立されたサイバーセキュリティ企業だ。創業者は元米空軍士官であったケビン・マンディア氏で、現在はNASDAQに上場している。

同社は2013年、中国人民解放軍とサイバー攻撃グループAPT1が協力して英語圏の141の組織に対してサイバー攻撃を仕掛けているとするレポートを発表して、注目を集めた。600人以上のセキュリティコンサルタントと300人以上のインテリジェンスアナリストを擁し、サイバー攻撃の手口に関する情報収集と、それを踏まえた防衛手段のコンサルティングに強みを持つ。

100億ドルを投資予定

今回の買収は、Googleのクラウドコンピューティングサービスのセキュリティ強化が目的とされており、Mandiantは、買収完了後にGoogleのクラウドコンピューティング部門に加わる予定だ。Google CloudのCEOであるトーマス・クリアン氏は、この買収によって「セキュリティオペレーションスイートとアドバイザリー・サービスをさらに強化し、顧客が重要なセキュリティ課題に対処できるよう支援する」と述べた

Googleは昨年の8月に、「今後5年間でサイバーセキュリティ分野に100億ドルを投資する」と宣言しており、そのとおりのオペレーションが実行された格好だ。今後も同分野でさらに活発な動きを見せるものと思われる(*3)

(*2)1位は2012年に125億ドルで買収した通信機器会社のMotorola Mobility、3位は2014年に32億ドルで買収したスマートホーム製品メーカーのNest。
(*3)なお、Googleは、22年1月にもイスラエルのサイバーセキュリティ・スタートアップSiemplifyを5億ドルで買収している。

Microsoftもセキュリティ関連のM&Aを連発

Microsoftも、Googleと並んで、特にサイバーセキュリティ分野への投資に力を入れている企業だ。

Microsoftは2021年に、クラウドセキュリティを専門とするCloudKnox、脅威インテリジェンスサービスを提供するRiskIQ、IoTセキュリティのCyberXReFirm Labsなどをそれぞれ数億ドルで買収するなど、セキュリティ関連のM&Aを連発している。

また、MicrosoftはGoogleよりも先にMandiantとの買収交渉のテーブルについていたという報道もある(しかし、Mandiantの事業内容が戦略的に十分合致しないとの懸念から交渉は打ち切られたとされる)。

同社も今後5年間でサイバーセキュリティ分野で200億ドルを投じると述べており、Googleと並んでこの領域で中心的な動きを見せる企業になるだろう。

ビッグテックはなぜサイバーセキュリティ企業を買収するのか?

これまで、ビッグテックにおけるサイバーセキュリティ企業買収の動向と、具体的な実例を振り返ってきた。

GoogleやMicrosoftを中心に、ビッグテックは近年サイバーセキュリティ分野への投資を進めており、今後もこの分野への注力は続くものと見られている。

ではなぜ彼らは今、サイバーセキュリティ企業に注目し、投資・買収をおこなっているのだろうか?

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著者
シニア・エディター
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社マイナースタジオの立ち上げに参画し、同社を売却。その後、The HEADLINEの立ち上げに従事。関心領域は、政治思想や東南アジアの政治経済など。
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