A freshly served bowl in London, United Kingdom(James Frewin, Unsplash) , Illustration by The HEADLINE

食料安全保障とは何か?ウクライナ情勢や中国で懸念、食料自給率との関係は

公開日 2023年03月28日 19:35,

更新日 2023年09月12日 23:13,

有料記事 / 国内 / 社会

この記事のまとめ
ウクライナ侵攻を経て、日本でも食料安全保障が議論。3本柱となるのは

①国内の農業生産 ②輸入 ③備蓄

それらを実現するため、

⏩ 農業の自律性
⏩ 農地集約による生産性の向上
⏩ 肥料のフレンドショアリング
⏩ 民間備蓄の強化

などが課題に。

食料安全保障をめぐる議論が、注目を集めている。

政府は昨年9月、「農政の憲法」とも呼ばれる食料・農業・農村基本法について、食料安全保障を強化する観点から改正する方針を発表した。この基本法は食料・農業政策の基本方針を定めたもので、実現すれば制定後初めての改正となる。

こうした動きの背景にあるのは、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略だ。世界有数の穀倉地帯であるウクライナと、同じく世界有数の肥料原料生産国であるロシアとベラルーシが当事国となった侵略によって、世界各国に大きな影響が生じている。

日本では畑作などに必要な肥料価格が急騰し、飼料穀物の高騰は畜産業に大きな打撃を与えている。特に、酪農への影響は深刻だ。

なぜ日本の酪農業は、かつてない危機に陥っているのか?
有料記事 / 政治

では、そもそも食料安全保障とは一体どのような概念なのか。そして日本の食料安全保障には、一体何が必要とされているのか。

食料安全保障とは何か

食料安全保障(Food Security)の国際的な定義は、1996年の世界食料サミットで示されたものが参照される。それが以下の文言だ。

全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活のための食生活の必要と嗜好に合致した、十分かつ安全で栄養のある食料を物理的、経済的に入手できるとき、食料安全保障は存在している。

この定義のなかには、いくつかのポイントがある。

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✍🏻 著者
シニアリサーチャー
北海道大学大学院農学院所属。専門は農業政策の歴史・決定過程。関心領域は食料・農業政策、環境政策など。一橋大学法学部卒。
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