・日本には、差別を禁止する法律や性的少数者に関する理解を促す法律がない
・荒井前総理秘書官の差別的な発言や、日本の国際的な立ち位置が関係か
2023年2月17日、日本を除いたG7(以下、G6と表記)とEUの駐日大使は、LGBTQ(性的少数者)の人権を守る法整備を求める書簡を取りまとめた。日本でLGBTQの権利を守る法整備が遅れていることを念頭においたもので、ラーム・エマニュエル駐日米大使が書簡取りまとめの立役者となった。非公式の扱いとなるプライベートレターではあるが、7人全員の大使が署名している。
G6各国の大使から日本へ向けて、このような書簡が送られることは極めて異例の出来事だ。その分、各国の強いメッセージが込められていると推測されるが、各国大使はなぜこのような法整備を要求したのだろうか?
書簡の内容
まずは、G6の大使から日本へ送られた書簡の内容を確認しておこう。
この書簡は、日本に対して「差別に対して明確に、必要な措置を講じる」こと、つまり性的少数者の権利を守るための法整備を要求するものだ。
書簡内では、前回のG7サミットの声明(*1)を引きながらLGBTQの人権保護の重要性が唱えられ、声明に書かれた目標の達成が遅れている日本を批判する形になっている。
また書簡では、差別から当事者を守ることが日本の経済成長・安全保障・家族の結束にも寄与するとの考えが示されている。LGBTQの法的な保護は、当事者のみならず国家全体の利益に繋がるという見解を持ち出し、国内における法整備のメリットが強調されている。
(*1)昨年6月にドイツで開催されたこのサミットでは、次の声明書が発布されており、日本も署名している。「我々は、女性と男性、トランスジェンダー及びノンバイナリーの人々の間の平等を実現することに持続的に焦点を当て、性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、 誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることを確保することへの我々の完全なコミットメントを再確認する。」
日本の現状
では、なぜG6各国は日本の法整備の状況に懸念を示しているのだろうか?