電気自動車への移行は、世界でどのように計画されているか?

公開日 2021/08/05 18:38,

更新日 2021/08/05 18:46

有料記事 / ビジネス・経済

  • 目次
  • 日本
  • 中国
  • 韓国
  • インドネシア
  • 米国
  • カナダ 有料
  • EU 有料
  • イギリス 有料
  • 争点となるハイブリッド車やプラグインハイブリッド車 有料

EU(欧州委員会)は先月15日、2035年からガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、ゼロエミッション車への切り替えを促進することを提案した

EUの定義するゼロエミッション車とは、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などの走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない自動車のことを指す。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などはゼロエミッション車に含まれていない(*1)

またフォルクスワーゲンをはじめとした欧州の大手自動車メーカーは「脱ガソリン」を掲げ、電気自動車化に積極的な姿勢を見せている。このように、2015年に採択されたパリ協定のもとで、温室効果ガスを排出するガソリン車やディーゼル車を禁止する動きが世界的に見られるようになった

では現在、世界のゼロエミッション車への移行はどの程度計画・進行しているのだろうか?

(*1)EUはプラグインハイブリッド車について「ゼロエミッション車へ移行するための技術」であると述べており、2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、その時点ですべての車がゼロエミッション車でなければならないとの見解を示している

日本

日本政府は今年1月に、2035年までにすべての新車を「電動車」に切り替えることを明言している。首相の菅義偉氏はこのことに関して「世界に先駆けて脱炭素社会を実現していく」と強調した

ただし日本政府の定義する「電動車」とは、電気自動車や燃料電池車の他に、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車含まれている。その理由として、トヨタをはじめとした日本の大手自動車メーカーがハイブリッド車技術で世界を牽引しており、今後も政策的に重視していく意向があることなどが指摘されている。

一方で日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す目標を掲げている。この目標を達成するためには、ハイブリッド車だけでなく電気自動車の普及が必要不可欠とされており、電気自動車の販売を促す規制も求められている

中国

中国政府は昨年10月、2035年から従来のガソリン車の新車販売を停止して「新エネルギー車」の販売のみを許可することを発表した

ここで言われる「新エネルギー車」とは、バッテリー式電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車、および燃料電池車などのガソリンに代わる新たなエネルギーを利用する自動車のことを指しており、ハイブリッド車は含まない。中国は2009年から、世界をリードできる新エネルギー車の技術開発を目指して国家戦略に位置づけてきた。

また中国政府は2030年までに、ガソリン車の中でのハイブリッド車比率を全体の75%、2035年までに100%と段階的に引き上げる計画を立てている。つまり、2035年以降に利用できるガソリン車はハイブリッド車のみに制限される。この動きは、国家主席の習近平氏が掲げた「2060年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする」という公約に続くものだった

現在、中国は世界における「新エネルギー車」販売を大きくリードしており、今年上半期時点で47%の市場シェアを獲得している。中国における「新エネルギー車」の売上高は、今後5年間で毎年40%以上増加するとの予想もされており、自動車産業からのカーボンニュートラル政策に力が入れられている。

韓国

2020年11月、韓国大統領諮問グループの「気候及び大気環境に関する国家委員会(NCCA)」は政府に対して、遅くとも2040年までにはガソリン車やディーゼル車を全面的に禁止し、電気自動車など二酸化炭素を排出しない自動車への移行を提案した。韓国政府はこの前月、2050年までのカーボンニュートラルへの移行と、二酸化炭素を排出しない自動車へ数十億ドル規模の投資をするとの計画を発表していた

また首都ソウルは、2035年にガソリン車とディーゼル車の新車登録を禁止するとともに、電気自動車や水素自動車のみの登録を許可することを決定している。さらにソウル市内中心部に限ると、新車だけでなく二酸化炭素を排出する車の走行は全面禁止する方針も発表されている。

他にも2025年までに、ソウル市内を走る全市バス7,396台の半分以上となる4,000台について、電気自動車や水素自動車に転換することが義務付けられている。こうした政策が計画通り進んだ場合、2050年までにはソウル市内の全ての車が電気自動車や水素自動車に変わると予想されている

インドネシア

日中韓以外のアジア各国でも、EVに向けた取り組みは加速している。

インドネシアでは今年6月、2050年までに全ての新車を電気自動車のみにすることが決定された。2040年からは、販売される全ての自動二輪車が電動になり、また2050年からは自動二輪車を含むすべての新車が電気自動車になるなど段階的に目標を設定している

同国では、電気自動車以外の利用を禁止することはせず、電気自動車の購入者に車両税の引き下げや補助金などのインセンティブを付けることによって、電気自動車への移行を目指す政策を取っている。

米国

アメリカでは、現段階で連邦政府レベルで新車販売などの規制は計画していない。今年4月、カリフォルニア州をはじめとする12州の知事は、2035年までにガソリン車の新車販売を停止をするよう要求しているが、バイデン大統領の対応は後ろ向きであった。

ただし、ゼロエミッション車への移行は州単位で進められている

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著者
リサーチャー
The HEADLINEリサーチャー。立教大学文学部文学科文芸思想専修所属。関心領域は文学、西洋哲学、人権・LGBTQ問題など。
The HEADLINE編集長
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。Abema TV『ABEMAヒルズ』、日テレ系『スッキリ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説をおこなう。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジア、テクノロジー時代の倫理と政治など。
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