なぜ中国で電力危機が起きているのか?

公開日 2021年11月11日 17:15,

更新日 2021年11月11日 21:20,

有料記事 / 社会問題・人権・環境

2021年9月から、中国で過去20年間で最大規模となる電力危機が起きている。

電力危機は、南部の広東省や東北の遼寧省など複数、そして広範な地域に及んでいる。中国当局によると、9月から10月にかけて31の省や直轄市、自治区のうち20以上で、何らかの電力供給制限や計画停電が実施されている。

電力不足が、5ギガワット弱(約150万世帯分)に達する可能性を示した遼寧省では、信号機が止まって渋滞が起きたり、暖房器具が使えない事態も起きている。また影響は産業界にも及んでおり、Apple社やTesla社などのサプライチェーンにおいて工場の稼働停止が余儀なくされている。

なぜ中国で、電力危機が起きているのだろうか?

高まる電力需要

背景にあるのは、高まる電力需要だ。中国では、新型コロナからの経済回復が進んでいる。中国海関総署の発表によると、2021年上半期の輸出総額は、38.6%増(前年同期比)の1兆5,183億ドルを記録し、特に対米貿易額は45.7%(前年同期比)となった。

また世界的なサプライチェーンの混乱に伴って、東南アジアの工場に対する発注が中国へ流れたこともあり、工場の稼働はさらに圧迫された

中国電力業界連合会によると、こうした要因から2021年に入って電力消費量は12.9%(前年比)上昇している。

需要に追いつけない3つの要因

高まる電力需要に対応できないのは、中国において主要電源である火力発電が抑制されているからだ。

中国の電源構成は、火力発電が約70%・再生可能エネルギーが約20〜30%・原子力・天然ガスは約5%以下であり、火力発電への偏りが大きい。なお、世界における火力発電の約53%を中国が占めており、世界的に見ても中国における火力発電の存在感は大きい。

つまり、火力発電が不足すると構造的に電力危機に陥りやすい状況が存在しているのだ。では、なぜ同国において火力発電の重要性は高いにもかかわらず、それが抑制されているのだろうか。背景には、石炭不足・電力小売価格規制・脱炭素政策という3つの要因がある。

続きを読む

この続き: 2,272文字 / 画像0枚

この記事を読むためには、月額980円のメンバーシップに参加するか単体購入が必要です。10日間の無料トライアルで、いますぐ読むことができます。

いますぐ無料トライアル

メンバーシップに関するご質問、決済や支払い方法などについては、「よくある質問」をご覧ください。

著者
リサーチャー
The HEADLINEリサーチャー。国際基督教大学教養学部アーツ・サイエンス学科卒業(政治学専攻)。関心領域は、平等論やホームレス問題など。
編集長
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。Abema TV『ABEMAヒルズ』、日テレ系『スッキリ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説をおこなう。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジア、テクノロジー時代の倫理と政治など。
最新情報を受け取る

ニュースレターやTwitterをチェックして、最新の記事やニュースを受け取ってください。

おすすめの記事