どのような国が、なぜロシアを支持しているのか?

公開日 2022年06月30日 15:05,

更新日 2022年06月30日 16:29,

有料記事 / 政治・国際関係

  • 3月2日の国連総会における対露非難決議は賛成多数で可決されたが、翌月の国連人権理事会によるロシア追放決議では反対24・棄権58カ国。
  • その理由は、ロシアへの経済的依存や軍事的結びつき、西側諸国への反発など大きく4つ。
  • ロシア支持には、近年の外交や貿易だけでなく数百年前からの歴史的背景が及ぼしている影響も。

ロシアによるウクライナ侵攻から4ヶ月が経ったが、未だに出口は見えていない。欧米や日本などは経済制裁などによりロシアへの圧力を強めている一方、ロシアの主張に耳を傾ける国が多いことも事実だ。実際、ウクライナ侵攻をめぐってロシアを非難または追放する国連決議では、ロシア寄りとも取れる投票を行った国は、3月から4月にかけて約2倍に増えた。

3月2日の対露非難決議(*1)に反対または棄権したのは全181ヶ国中40ヶ国(うち反対は5)だったが、翌月の対露追放決議(*2)では反対・棄権に回った国が82ヶ国(うち反対は24)まで増えている。2つの決議案の内容は異なるものの、1ヶ月の間で対露決議における反対、棄権総数がおよそ倍増したことになる。ロシアへの対応をめぐり、各国に温度差があることが露呈した形だ。

この2度の決議案で反対または棄権に回った国は、アジア、アフリカ、中南米、中東と幅広い。この投票行動にはそれぞれの国や地域ごとに様々な要因があるが、本記事ではそれを、経済的依存軍事的依存西側への対決姿勢、そして歴史的背景という4つの視点から見ていく。

(*1) ウクライナ侵攻から1週間後の3月2日に国連総会で採択された、ロシアを非難し軍の即時撤退を求める決議。
(*2)4月7日に国連総会で採択された、ロシア軍による戦地での非人道的行為に対して、国連人権理事会からロシアを追放する決議。ただしこの追放決議においては、決議案に反対しなければ報復するというロシアからの圧力もあったと言われている。

ロシアへの経済的依存

まずロシアへの経済的な依存を理由として、反対・棄権に回った国が挙げられる。中東、アフリカ、ラテンアメリカ、中央アジア、タイなどだ。

中東やアフリカ、ラテンアメリカをはじめとした国々は、ロシアから小麦や肥料などを輸入している。さらにはロシアへ出稼ぎに行くことで社会が支えられている中央アジアや、ロシアからの観光客に観光収入を依存しているタイの例もある。以下で詳しく見ていこう。

輸出大国としてのロシア

ロシアは農産物の輸出大国だ。特に小麦や肥料などの主要農産物の輸出量が多いロシアに対して、経済的に依存する国はあらゆる地域に存在している。

まず小麦についてだが、ロシアの生産量は世界4位であり、輸出量は2018-21年平均で世界1位である。その主要輸出先は52%を占める中東・北アフリカであり、サハラ以南アフリカ、東南アジアと続く。大麦の輸出量もロシアは世界2位であり、穀物輸出に力があることがわかる。

肥料についても、ロシアは世界の輸出量の15%(2018年)を占める世界1位の輸出国だ。さらに、ロシア側で参戦したことでロシアと共に経済制裁の対象とされているベラルーシも、世界の輸出量7%を占める肥料の輸出国である

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この肥料に頼っている国として挙げられるのがブラジルだ。農業国ブラジルは肥料の8割を輸入に頼っているが、そのうちロシア産が22%、ベラルーシ産が6%を占める。そのため、経済制裁によりロシアやベラルーシからの肥料輸入を止めると、自国農業に大打撃になるリスクがある。さらに同じくラテンアメリカの国であるベネズエラも、国内で消費する小麦の8割をロシアから輸入している

出稼ぎ先としてのロシア

ロシアと地理的に近く、経済的に依存しているのが、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギス、ウズベキスタンといった中央アジア諸国である。これらの国は、国連決議においてもロシア寄りの行動を見せている。

中央アジアには、大量の労働者がロシアへ出稼ぎに行き、自国に送金をおこない社会を支えているという背景がある。

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著者
東京大学大学院総合文化研究科
東京大学大学院総合文化研究科修士課程所属。専門は戦後ドイツの補償をめぐる問題。関心領域はドイツ・ヨーロッパの政治や社会、および広く少数派保護に関すること。
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