OnlyFansはなぜ性的コンテンツを規制するのか?セックスワーカーとプラットフォーマー

公開日 2021/08/31 18:51,

更新日 2021/08/31 21:20

有料記事 / 社会問題・人権・環境

  • 目次
  • OnlyFansとはどんな企業か
  • OnlyFansによる規制の理由
  • ポルノにまつわる問題 有料
  • プラットフォームとセックスワーカー 有料

*この記事には、性的暴行に関する記載が含まれています。

ロンドンに拠点を置くサブスクリプションサービスOnlyFansが、2021年10月1日から露骨に性的な写真やビデオなどのコンテンツをブロックすると発表した。同サービスの利用規約に準拠していれば、引き続き性的コンテンツの投稿は可能とされているものの、ポルノとみなされうるコンテンツは全て削除するという方針をとっている。

同サービスはセックスワーカーによるアダルトコンテンツの投稿先として知られており、人気ラッパー Megan Thee Stallionのグラミー賞受賞曲「Savage」のリミックス版では、ビヨンセがOnlyFansに言及している。また同じく人気ラッパーのCardi Bやプロボクサーのフロイド・メイウェザーなどの有名人が自身のアカウントを開設するなど、注目を集めている。

OnlyFansとはどのような企業・サービスであり、どのような課題を抱えているのだろうか。そして主たるユーザーとされるセックスワーカーと、プラットフォーマーとしてのOnlyFansの関係はどのようなものだろうか。

OnlyFansとはどんな企業か

OnlyFansは2016年、イギリス人起業家のティム・ストークリーとトーマス・ストークリーの兄弟によって創設された。なお、2018年にはウクライナ系アメリカ人の起業家レオニド・ラドヴィンスキーに過半数以上の株式を売却している。

同社は企業ミッションとして、

OnlyFansは、クリエイターとファンのつながりに革命を起こすソーシャルプラットフォームです。あらゆるジャンルのアーティストやコンテンツクリエーターが参加し、ファンベースとの真の関係を築きながら、コンテンツを収益化することができます。

と、広告収入などによらず、コンテンツを直接収益化できるサービスの開発を掲げている。

具体的には、クリエイターは、「ファン」と呼ばれる自身のコンテンツへの課金ユーザーに自身のコンテンツを直接販売することができ、OnlyFansはプラットフォーマーとして20%の手数料をとる仕組みとなっている。クリエイターは月額でのサブスクリプション制に加え、PPVメッセージ機能など、さまざまな課金形式を選ぶことができる。

ユニコーン企業としてのOnlyFans

その成長は著しく、現在125万人以上のクリエイターと1億3000万人以上の登録ユーザーが存在している。

特にコロナ禍以降の伸びは大きく、2020年7月までの企業利益は553%増加した。同年時点での売り上げは20億ドル以上となっており、手数料収入だけで4億ドル以上の利益をあげているとされている。こうした成功から、OnlyFansをユニコーン企業とみなす向きもある。

健全なコンテンツの存在

上記の企業ミッションに鑑みても、OnlyFansのサービスは、必ずしも性的コンテンツのシェアを意図した仕組みではない(*1)

冒頭で紹介したように、同サービスはアーティストやアスリートなどがコアなファン向けのコンテンツを課金者向けにシェアする際に利用されている。また、2021年1月にはiOSとGoogle Playでコンテンツ配信アプリOFTVをリリースし、料理やフィットネス、インタビュー動画など、非アダルト系コンテンツの配信もおこなっている。

(*1)日本国内ではFantiaがOnlyFansに類するサービスを提供しており、AV女優などが性的コンテンツを販売している。

アダルトコンテンツをめぐる動向

だが、もっとも重要なクリエイターはセックスワーカーだ。コロナ禍以降、直接的な収益を得る機会が減少したセックスワーカーにとって、オンラインプラットフォームでの消費者に対する性的コンテンツの直接販売は、新たな収入源として人気を集めた。

一方で、こうした人気の裏で、セックスワーカーと非セックスワーカーとの間での衝突も見られる。2020年8月に女優のベラ・ソーンが、自身のヌードを公開するとして参入し、当時のギャラの最高記録である24時間で100万ドル、1週間以内で200万ドルを稼ぎ出した。この際、実際にはヌードが公開されなかったことにユーザーが憤慨し、返金を要求するなど混乱を招いた。またセックスワーカーたちも、この事件を受けてOnlyFansが課金限度額やギャラの支払いに関するポリシーを変更したため、自身の収入源に悪影響を与えた彼女を批判する事態となった。

その後、2021年4月にラッパーのBhad Bhabieが参入し、6時間で100万ドルを稼いでベラ・ソーンの記録を破ったが、当時18歳になったばかりの彼女の参入は、児童ポルノをめぐる年齢上の境界線をめぐって物議を醸した

なお、同種の競合他社としてはFanslyJustFor.FansLoyalfansPocketStarsAVN Starsなどが挙げられる。これらのサービスはOnlyFansと比べて規制が緩く、より性的コンテンツに特化しているため、今回の規制を受けてこれらのサービスへ移行するセックスワーカーも多いとされている。しかし現時点では、競合他社はOnlyFansほどの市場シェアを持たないため、セックスワーカーにとって必ずしも代替的な収入源になり得ないともみなされている。

OnlyFansによる規制の理由

ではOnlyFansは、なぜセックスワーカーのコンテンツ投稿先として人気を博しながら、アダルトコンテンツの規制に向かっているのだろうか。以下では大きく2つのポイントを見ていこう。

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著者
法政大学ほか非常勤講師
早稲田大学文学部卒業後、一橋大学大学院にて修士号、同大学院博士後期課程で博士号(社会学)を取得。専門は社会調査・ジェンダー研究。
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