再エネ賦課金とはなにか?なぜ電気代に加算され、高騰し続けているのか?

公開日 2021年10月19日 13:18,

更新日 2021年10月19日 13:18,

有料記事 / 社会問題・人権・環境

昨年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を正味ゼロにするカーボンニュートラルを宣言した。2015年に採択されたパリ協定のもと、日本だけでなく120以上の国・地域が、2050年前後までにカーボンニュートラルを達成する長期目標を掲げている

この目標に向けて日本は、温室効果ガスの排出量が多い化石燃料発電の割合について現行の70%以上から2030年までに41%まで抑えるとともに、太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)による発電の割合を36~38%まで引き上げることを掲げている。(これを電源構成と呼び、詳しくはこちらの記事を参照。)

その再生可能エネルギーに関連して、すべての電気利用者は電気料金の一部として「再エネ賦課金」が徴収されている。この再エネ賦課金の金額は年々増加しており、電気料金上昇の一因として報道されることが増えてきた。

この再エネ賦課金とは何であり、なぜ徴収されているのだろうか。また、なぜ増額が続いており、将来的にはどの程度の金額まで上昇するのだろうか?

再エネ賦課金とは

再エネ賦課金とは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略称で、文字通り再生可能エネルギーを利用した発電の促進を目的とした賦課金(ふかきん)ことだ。毎月の電気料金には「再エネ賦課金」や「再エネ発電賦課金」などの名前で加算されている。

これは、2012年7月にはじまった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)に基づいている。そのため再エネ賦課金について知るためには、FIT制度を理解する必要がある。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)

再生可能エネルギーの固定価格買取制度とは、再生可能エネルギーの普及を目的として、一般家庭や事業者が再エネで発電した電気について、電力会社による買い取りを国が約束する制度だ。再エネで発電した電気は、固定価格で取引されると取り決められており、その価格は「事業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に、価格目標や適正な利潤などを勘案して定められ」る。

つまり、発電コスト・事業コストを踏まえても再エネ事業者に利潤が出る水準の(高価な)価格が設定され、それを電力会社が買い取る仕組みだ。電気利用者は、この買い取り費用の一部を負担することが求められ、それが再エネ賦課金となっている

FIT(= Feed-in tariff)制度は、「一般的に、適切に設計された固定価格買取制度は、再生可能エネルギーを促進するための、最も効率的・効果的な支援制度だ」と指摘されるように、再エネシフトを目指す各国で導入が進んでいる。

現状で再エネによる発電は、化石燃料による発電と比べてコストが高くなっている。そのため自由競争に任せてしまうと、電力会社などの事業者側は再エネを普及させるインセンティブが生まれづらく、電気利用者にとっても再エネ主体のプランなどを敬遠してしまい、再エネが普及しづらい要因となる。

そこで本制度により、全ての電気利用者が再エネ発電のコストを広く負担することで、再エネによる電気をつくる事業者にとっても利益が生まれ、それにより再エネの普及拡大と価格低減が実現することが狙われている。FIT制度によって再エネが大量に普及すれば、設備投資や生産・流通コストなどが下がるため、最終的には電気のコスト自体も大きく下がることが指摘されている。

再エネ賦課金の効果

実際にその効果は大きく、この制度の下で日本における再エネのボリュームは大幅に増加した。

まず、再生可能エネルギーの設備容量の年平均伸び率は、再エネ賦課金開始前の2010年から2012年までで9%だったのに対し、徴収開始後の2012年から2019年まででは18%と、9ポイント上昇している。そのなかでも、特に太陽光の割合が急増した

また、電力構成における再生可能エネルギーの割合も、2011年度には10.4%だったが、2020年度には21.2%まで上昇している。

同時に、太陽光発電のコストも低下する見通しだ。経産省が今年の7月に発表した資料によれば、2030年の電源別発電コストは、太陽光(事業用)が8円台前半~11円台後半、太陽光(住宅用)が9円台後半~14円台前半(それぞれ1kWhあたり)と試算されている。

既存の原子力は11円台後半~、LNG火力は10円台後半~14円台前半、石炭火力は13円台後半~22円台前半であり、将来的には太陽光発電が優位性を持つことが明らかになっている。

再エネ賦課金がもたらす負担

しかし、固定価格買取制度は再エネ導入時のコストを将来に先送りする仕組みでもある。固定買取の期間は、住宅用では10年、産業用の場合は20年間と定められており、その期間は必ず初期に設定された高価な買取価格を再エネ事業者に保証しなければならないからだ。

つまり、発電コストの低下などの外部環境の変化があり、自由競争下であれば電気代が下がるような状況でも、固定価格買取制度の下では再エネ賦課金の負担が維持されるため、結果的に導入時のコストを将来に支払うかたちになっている。

これにより、規模が大きい産業用の太陽光発電の買取が始まった2012年度の20年後の2032年度前後までは、導入された再エネの量が増えれば増えるほど、再エネ賦課金はあがり続けることになる(1kWhあたりのコストが決まっているので、規模の増加により必然的に賦課金はあがる)。それでは、この再エネ賦課金は、将来的にどの程度の金額まで上昇するのだろうか?

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著者
レポーター
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社マイナースタジオの立ち上げに参画後、同社を売却。その後、The HEADLINEの立ち上げに従事。関心領域は、政治思想や東南アジアの政治経済など。
リサーチャー
The HEADLINEリサーチャー。立教大学文学部文学科文芸思想専修所属。関心領域は文学、西洋哲学、人権・LGBTQ問題など。
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