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為替介入とは何か?わかりやすく解説 = 1ドル145円の円安受けて

公開日 2022年09月22日 20:30,

更新日 2023年09月15日 16:22,

有料記事 / 金融

財務省の神田真人財務官は、22日夕方に為替介入に踏み切ったことを認めた。1998年以来、24年ぶりとなる1ドル=145円水準となる中、急激に進む円安を是正するための「断固たる措置」が取られた形だ。

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為替介入をめぐっては、日本が単独で介入をおこなっても「効果は乏しい」という見方も強かったが、日米両政府が円買い・ドル売りの協調介入をおこなった1998年から24年ぶりに実施された。

そもそも為替介入とは何であり、なぜ効果を疑問視する声もある中で、実施されたのだろうか。

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為替介入とは何か?

為替介入とは「為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図る」ことを目的として、日本銀行が外国為替市場で通貨の売買をおこない、為替相場に影響を与えることを指す。今回のケースであれば、急激に変動するドル円相場を安定させるために、日本銀行がドルを売って円を買うことで、急激な円安ドル高の流れを落ち着かせることを意味する。円が為替市場で安く売られていることから円安が進んでいるが、日銀が大規模に円を買うことで、この流れを止める仕組みだ。

ドル円相場をめぐっては、昨年夏頃には1ドル=110円だったものの、今年3月には1ドル=120円を記録。その後も4月に1ドル=130円を突破して、9月に入ってからは1ドル=140円を超えるなど、急激な円安ドル高が進んでいた。

モノやサービスを輸出する企業にとって望ましい側面もある円安だが、輸入コストが上昇することで国内企業の収益が下がったり、消費者の購買力が低下する懸念がある。また、急速なドル円相場の値動きによって、経営の不確実性が高まり、企業業績が読みづらくなる問題もある。

円安に介入する3つの方法

急激な円安を沈静化させるため、一般的に政府は

  1. 口先介入
  2. 金利引き上げ
  3. 為替介入

という3つの選択肢を取り得る。

1つ目の口先介入とは、黒田総裁が為替動向を「好ましくない」と発言したように、実際の金融政策はおこなわず、関係者の発言によって市場に円安に対する警戒感を示す方法だ。鈴木俊一財務相が「円安に一方的に振れていることを憂慮している」と強調するなど、関係者は9月以降に口先介入を強めてきたが、大きな効果は見られなかった。

2つ目の金利引き上げは、現在の円安の主因となっている日米の金利差を是正するため、日本が金利を引き上げる方法だ。

▼ 円安が進む理由については、以下記事を参照。

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急激な円安の背景には、マイナス金利政策が続く日本の円を売って、高い利回りが得られるドルを買おうとする為替市場の動きがある。米国では、インフレ抑制のために金利が引き上げられており、日米の金利差はますます拡大している。

理論的には、日本が金利を引き上げることで円安は是正されるが、日本はデフレ経済を脱却するため世界で唯一マイナス金利を続けており、21日に0.75%の大幅な利上げを決めたばかりの米・連邦準備制度理事会(FRB)と対照的な金融政策が続いている。

そして、3つ目の方法が為替介入だ。為替市場で買われているドルを売り、反対に円を買うことで円安ドル高の流れを止める手法だ。ちなみに2010年には、急速に進行する円高を阻止するために為替介入がおこなわれており、必ずしも円安時に実施されるわけではない。

世界第2位のドル準備保有国である日本がドルを売るインパクトは小さくないものの、「介入以外にとりうる策が尽きた結果の苦渋の選択」とも言われる

為替介入のデメリット

為替介入は全てを解決する魔法の杖ではなく、大きく3つのデメリットがある。

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✍🏻 著者
編集長 / 早稲田大学招聘講師
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。日テレ系『DayDay.』火曜日コメンテーターの他、『スッキリ』(月曜日)、Abema TV『ABEMAヒルズ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジアなど。
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