⏩ 中国はG7唯一の参加国を失う形に
⏩ ウクライナ侵攻における中露連携で懸念が深まる
⏩ 経済的にも一帯一路からほぼ恩恵得られず
⏩ 他国の離脱を促すかが今後のポイント
2023年12月、イタリアは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を公表した。主要7カ国(G7)唯一の参加国だったイタリアが離脱する。
一帯一路は、2013年に習近平(シー・ジンピン)国家主席が明かした構想だ。2015年の「行動計画」によれば、陸路(一帯)と海路(一路)のそれぞれについて、主にインフラを通じた地域間の貿易関係の改善を目指している。
しかしイタリア国内では、一帯一路への参加が「その場しのぎで、ひどい行為だった」とする声もあがっており、不満が募っていた。
イタリアは「新シルクロード」とも呼ばれる一帯一路において、政治的にもシンボル的にも重要な立ち位置を占めていたが、なぜ離脱する決断に至ったのだろうか。
イタリアと一帯一路の関係は?
イタリアと一帯一路の関係は2019年に始動した。同年、当時のジュゼッペ・コンテ首相(任期:2018-2021)が参加を決断し、中国の一帯一路構想に関する覚書を締結した。
ジュゼッペ・コンテ(G20 Argentina, CC BY 2.0 DEED)
習主席がイタリアを重視した理由については、そのシンボル的な意味合いがあったと指摘されている。すなわち、イタリアは、古代のシルクロードの終着点としての役割を果たしていたため、イタリアを一帯一路に取り込むことができれば、習主席の構想を中国の黄金時代と結びつけることができると考えられたのだ。
一方のイタリアは、10年で3度の景気後退に陥るなど経済の低迷が問題視されていた。ギリシャと並び、最も債務の多い国の1つであるイタリアは、投資を呼び込み、輸出を拡大するための相手先として、巨大市場を有する中国とパートナーシップを構築した。
こうして、イタリアは主要7カ国(G7)で唯一、同構想の参加国となっていたが、参加から4年あまりで離脱するに至った。
今回の離脱表明は、2019年に締結した覚書の更新時期が2024年3月に迫っている中でおこなわれたが、なぜイタリアは一帯一路から離脱するのだろうか。
なぜ離脱するのか?
イタリアが一帯一路から離脱する理由については、大きく2つの理由があり(1)政治的理由と(2)経済的理由だ。