バイデン政権は、どのような仮想通貨政策を打ち出すのか?

公開日 2022年03月31日 10:54,

更新日 2022年05月11日 11:04,

有料記事 / 政治・国際関係

バイデン米大統領は3月9日、暗号資産(仮想通貨)に関する大統領令に署名した。この大統領令は、消費者保護、国家安全保障、不正防止などの観点から、暗号資産の規制計画を策定するよう指示するものだ。

これまで米国では、連邦準備理事会(FRB)や証券取引委員会(SEC)などが個別に暗号資産への対応を進めており、政府として統一された規制はなかった。そのため、国家として初の暗号資産戦略が示されることにもなる。

財務省などの関係省庁は、規制にまつわる立法措置の可能性について報告書をまとめるよう指示されており、今後6ヶ月以内に具体策の検討がおこなわれる予定だ。

今回の大統領令では、基軸通貨であるドルの「デジタル化」の可能性を検討することも指示されるなど、暗号資産業界のみならず、経済や外交、安全保障にも大きな影響を与えうる。

バイデン政権は、今後どのように暗号資産規制に取り組んでいくのだろうか?

6つの主要政策目標

大統領令では、以下の6項目が主要な政策目標として示された。

  1. 消費者・投資家・企業の保護
    暗号資産は、適切な保護がおこなわれない場合、消費者・投資家・企業に重大な財務リスクをもたらす可能性がある。そのため、財務省によって暗号資産が金融市場の変化に与える影響を評価し、政策提言をおこなう。
     
  2. 米国と世界の金融安定維持
    米国および世界金融の安定性を守り、システミック・リスクを軽減する。そのため、金融安定監視評議会が暗号資産のもたらす金融リスクを特定・対処する政策提言をおこなう。
     
  3. 金融不正の防止および国家安全保障上のリスクの軽減
    暗号資産の悪用によってもたらされる金融不正を防ぎ、国家安全保障上のリスクを軽減する(*1)。そのため各機関は、同盟国やパートナーと協調し、リスクへの対応を一致させる。
     
  4. 米国のリーダーシップと競争力強化
    米国は、米ドルと米国の金融機関および市場が世界の金融システムにおいて果たす中心的な役割から、重要な経済的および国家安全保障上の利益を得ている。そのため、決済イノベーションとデジタル資産の責任ある開発を通じて、国際金融システムにおける米国のリーダーシップの継続を強化しなければならない。
     
  5. 金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)
    多くの米国人は銀行口座を持たず、国境を越えた送金や決済にかかる費用は高額である。そのため暗号資産を用いて、従来の銀行システムで十分なサービスを受けていない米国人の金融サービスへの公平なアクセスを拡大する。具体的には、投資・資金移動・決済をより安く、速く、安全にすることや、金融商品・サービスへのアクセスを促進することを可能にする。
  6. 責任ある技術革新
    暗号資産の技術的設計思想は、プライバシー、国家安全保障、金融システムのセキュリティ、気候変動、その他の国家目標に大きな影響を与える。そのため、デジタル資産の責任ある研究開発を加速させる。

(*1)暗号資産による重大な金融不正リスクとして、大統領令ではマネーロンダリング、サイバー犯罪、ランサムウェア、麻薬密売、人身売買が挙げられている。また、国家安全保障上のリスクとしては、暗号資産が米国や外国の金融制裁制度を回避するためのツールとして利用されるおそれがあるとされている。

CBDC開発への言及も

また今回の大統領令では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究開発方針も言及されている。

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著者
シニア・エディター
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社マイナースタジオの立ち上げに参画し、同社を売却。その後、The HEADLINEの立ち上げに従事。関心領域は、政治思想や東南アジアの政治経済など。
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