The National Art Center, Japan(john Applese, Unsplash) , Illustration by The HEADLINE

科博がクラウドファンディング = なぜ日本の博物館は、資金不足?

公開日 2023年09月15日 20:41,

更新日 2023年09月17日 11:59,

有料記事 / 文化

この記事のまとめ
💡科博クラファン大成功。博物館・美術館には資金が足りない?

⏩ 国立科学博物館、クラファン支援総額が7億円突破
⏩ 9割以上の博物館が“赤字”運営
⏩ 継続的な支援を得ることが安定した運営のカギ

8月7日、東京・国立科学博物館(科博)が資料収集・管理のためにクラウドファンディング(クラファン)を開始した初日に目標額1億円を突破し、現在までの支援総額は7億5,000万円を超えている。募集は11月5日まで続くため、さらに支援額が大きくなる見込みだ。

この成功が話題になる一方で、博物館(*1)が自力で資金を集めなくてはならない状況を疑問視する声もある。2001年に独立行政法人化され、自律した運営を求められるようになったとはいえ、博物館は「社会のための非営利の常設機関」であり、その運営には国家予算も割かれている。

それでも多くの博物館が資金難に悩まされているが、一体何にどれくらい資金が足りないのだろうか? そして、なぜ十分な資金を得ることができないのだろうか?

(*1)「博物館」には、総合博物館、歴史博物館、美術博物館、科学博物館、動物園、水族館、植物園、動植物園、野外博物館など、多様な種類の施設がある。令和3年度文部科学省社会教育調査によると、日本の博物館の種類構成は、57.8%が歴史、18.3%が美術、その他はそれぞれ10%以下。

科博のクラファンが大成功

今回の科博のクラファンは、同館史上最高額となる目標額1億円をはるかに上回り、7億円以上の資金を集めることに成功した。

科博は、140年以上の歴史と500万点以上のコレクションを有する日本唯一の国立総合科学博物館だ。今回クラファンに踏み切った背景は次のように説明されている。

当館のミッションは大きく三つ、「調査研究」「展示・学習支援」そして「標本・資料の収集・保管」です。しかし、その根幹である「標本・資料の収集・保管」が、昨今のコロナ禍や光熱費、原材料費の高騰によって、資金的に大きな危機に晒されています。

支援サイトには5,000円から1,000万円までのコースが用意され、オリジナルグッズやバックヤードツアーが返礼品として提示された(*2)。「地球の宝を守れ」という合言葉のもと、8月7日午前9時に募集を開始すると、一時サーバーダウンするほど支援ページにアクセスが集中し、同日午後5時20分までの約8時間で目標額を達成した。

資金の用途については、同月中に支援総額が6億円を超えた時点で、「科学系博物館の協働・ネットワークによるコレクションの充実」および「標本・資料を収集する意義を伝える巡回展の全国展開」が予定されていることを篠田謙一館長が報告している

(*2)100万円以上のコースは法人向け。

博物館のクラファンは珍しくない

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✍🏻 著者
リサーチャー
東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)にて修士号取得。専門はイタリア近代絵画。アートの領域を中心にライターとして活動中。
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