⏩ 足元では大きな供給元である西アフリカの天候不順が原因と報道
⏩ より慢性的な要因も供給にダメージ
⏩ 今の形でカカオ栽培を続けることは不可能?
⏩ チョコレート製品の価格への影響は?
2024年3月26日(現地時間)、カカオの価格が史上初めて、1トンあたり1万ドル(約150万円)を超えた。今年に入って 138% ほど価格が上昇しており、その上がり方は Nvidia 株の動きとほぼ同じだとも言われている。
2000年から2024年3月26日までのカカオ先物価格(ニューヨーク、各日の最高値)(Yahoo Finance のデータから筆者作成)
価格上昇の原因について、足元では、主要生産地域である西アフリカでの天候変化やカカオの病気などが取り沙汰されている。ただ、そうした現象は過去にもあったはずだ。
そのため、今回の価格高騰を理解するためには、より長期にわたる視点と政治的な背景もおさえる必要がある。
なぜ、いまカカオの価格が歴史的な高騰を見せているのだろうか。そしてそれは、世界にどんな影響をもたらすのだろうか。
なぜ、カカオ価格が急騰しているのか?
カカオ価格の高騰は、カカオ需要に対して供給が追いついていない現状を反映している。2023-24年シーズンは、世界のカカオ供給量が昨シーズン比約 11% 減の444万9,000トンになると予想されており、推定需要を33万トン下回るという。
現在、3つの変化が価格高騰を招いており、具体的には、(1)環境要因(2)農家保護の挫折(3)政治的要因という視点から理解することができる。