山上容疑者の手紙[全文]・書き込み = 安倍元首相銃撃

公開日 2022年07月18日 16:51,

更新日 2022年09月12日 19:07,

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安倍晋三元首相を銃撃・殺害した山上徹也容疑者が、犯行直前にジャーナリスト・米本和弘氏に殺害を示唆する手紙を送っていたことが明らかとなった。

手紙には、統一教会(世界平和統一家庭連合)について「私の一生を歪ませ続けた」と強い恨みを明らかにするとともに、安倍元首相については「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と分析。

統一教会の関連イベントに演説や祝電を送り、近しい議員の選挙において教会員が動員されるなど、持ちつ持たれつの関係にあったことが推測されている安倍元首相について、複雑な心境も示している。

以下、手紙の全文。

山上容疑者による手紙

〇〇殿

ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。

私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。

私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。

個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。

世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。

私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、今もそれは変わりません。

苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。

文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。

現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです。

安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。

言及された書き込み

手紙冒頭で「『まだ足りない』として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。私は『喉から手が出るほど銃が欲しい』と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました」と言及する山上容疑者だが、実際にその書き込みは2020年12月16日におこなわれている。

そこでは、米本氏のブログにおける以下の記述について、

ビデオセンターに勧誘された人のうち祝福結婚(合同結婚式)に参加するまでに至った人は、統一教会の資料によればたったの1%だという。99%は途中で何らかの疑問を抱き、統一教会が仕組んだコースから外れたのである。

山上容疑者が「まだ足りない」というユーザー名を用いながら、コメント欄で反発する様子が伺える。(*1)

米本氏は本気で「統一教会への献金で問題になったのは1%」などと信じているのか?
また金でも貰ったのか?
統一教会が金を巻き上げたのは主に誰からか。
信者の大半はどんな人々か。
一人で信じて自分の金を延々巻き上げられたのならまだいい。
自己責任とも言える。
現実はそうではない。
何らかの問題を抱え、悩みに、弱さに付け込まれた一人の信者の、或いは被害者の裏には彼らの家族がいる。

山上容疑者が自身の境遇を重ね合わせながら、献金をおこなった信者には家族がおり、その苦しみは多大である、と主張している。その上で、米本氏による

カッカしなさんな。
出発点が狂っている。

という返信を受けた後に、山上容疑者は「米本氏には悪いがもう少し語らせてもらう」とした上で、冒頭で述べた

だが言っておく。
復讐は己でやってこそ意味がある。
不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。
何故だろうな?

という発言に至っている。米本氏は事件を受けて「岡山から俺のところに来れば良かった。頭が混乱していたんだろう。頭を水で冷やしてやれば良かった。会いたいと言ってくれれば良かった」と発言している。

(*1)このユーザー名が山上容疑者本人であるかは確認されていないが、手紙の内容とあわせれば、その可能性は非常に高いものとみられる。

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安倍元首相銃撃事件

✍🏻 著者
編集長 / 早稲田大学招聘講師
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。日テレ系『DayDay.』火曜日コメンテーターの他、『スッキリ』(月曜日)、Abema TV『ABEMAヒルズ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジアなど。
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