富士通、汐留シティセンター(Kakidai, CC BY-SA 4.0 DEED) , Illustration by The HEADLINE

英国最大の冤罪事件、富士通が謝罪 = 900人の人生を台無しに?

公開日 2024年01月17日 15:32,

更新日 2024年01月17日 15:41,

有料記事 / 欧州 / ビジネス

この記事のまとめ
💡英国最大の冤罪事件で富士通が謝罪=ドラマで事件が再燃

⏩ 1999年から英国郵便局に富士通の会計ソフトが導入
⏩ ソフトに基づき700人以上が窃盗などで有罪に
⏩ 2019年、システムに欠陥があったと判決、有罪の取り消しへ
⏩ 賠償をめぐり富士通を提訴の可能性も

英国最大の冤罪事件が再燃している。これは、およそ20年にわたって、700人以上のサブポストマスター(民間受託郵便局長)たちが不当に有罪判決を受けた事件だ。彼らの多くが仕事を失い、破産し、少なくとも4人が自ら命を絶ったと言われている

英・ITV のドラマシリーズ「Mr Bates vs The Post Office」が年明けから放映されたことで、関心が高まった形だ。ITV によれば、ドラマシリーズとドキュメンタリーを合わせて、約1,500万人が視聴したという


そして、「この物語全体の中心にいる」と言われるのが富士通(太字は引用者による、以下同様)。サブポストマスターたちが冤罪に巻き込まれた原因として、富士通の英子会社が納入した会計ソフトウェア Horizon の欠陥が指摘されているためだ。なお、不当に起訴された人々の犯罪歴データベースの保守・管理も富士通が請け負っている

これまで有罪判決が覆されたケースは90件あまりで、被害者たちは、依然として救済と説明責任を求めている。リシ・スナク首相は1月10日、本件について「英国史上最大の誤審の1つだ」としたうえで、サブポストマスターたちに言い渡された有罪判決を無効化し、補償を促進する法案を計画していると語った

本件について、英子会社・富士通サービシーズのポール・パターソンCEO が、日本時間1月16日に英下院の委員会で、Horizon に欠陥があったことを認め「冤罪に関わったことを謝罪する」と証言し、被害者への賠償について「道徳的な責任がある」と語った。17日の東京株式市場では富士通株が急落、午前の終値は前日終値比730円安の1万9,555円となった。

ただ、富士通が英政府の「戦略的サプライヤー」であり続けていることには批判の声が相次いでおり、今後の対応が注視されている状況だ。

英国史上最大の誤審とも言われる冤罪事件はどのような経緯を辿り、そこに富士通はどう関わってきたのだろうか。

1. 事件の経緯は?

この事件は、1999年にまでさかのぼる。

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✍🏻 著者
シニアリサーチャー
早稲田大学政治学研究科修士課程修了。関心領域は、政治哲学・西洋政治思想史・倫理学など。
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