Cargo ship in Valparaíso, Chile(David Vives, Unsplash) , Illustration by The HEADLINE

「グローバル・サプライチェーンのGoogleマップ」を提供する AI スタートアップ Altana とは?

公開日 2023年08月03日 07:30,

更新日 2023年09月11日 16:51,

有料記事 / スタートアップ / AI

この記事のまとめ
💡「グローバル・サプライチェーンのGoogleマップ」を提供する AI スタートアップ Altana とは?

⏩ 米国規制当局と契約を獲得
⏩ サプライチェーン内における強制労働を AI で検知
⏩ 企業のデータを取得せずに機械学習をおこなう技術で知的財産の課題をクリア

2023年7月20日(現地時間)、サプライチェーン・マッピングの AI スタートアップ Altana が、米国税関・国境警備局(CBP)との契約獲得を発表した。複数年の契約となっており、その規模は初年度で285万ドル(約4億円)相当、3年間で1000万ドル(約14億円)近くになるという

ここ数年、世界ではサプライチェーンの強化や透明性の確保が求められてきた。背景にあるのは、米中間の貿易摩擦、中国の新疆ウイグル自治区における強制労働、新型コロナウイルスによるパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻などだ。

ウイグル問題とは何か =「深刻な人権侵害」は、なぜ・いつから・どのように問題視されているのか
有料記事 / 社会問題・人権

たとえば、AI ブームにより半導体チップへの需要は加速する一方だが、同時に地政学的なリスクからサプライチェーンの混乱を懸念するも聞かれる。7月25日、対話型 AI の Claude を手がける Anthropic のダリオ・アモデイCEO は、米上院の委員会で、AI 開発を支えるハードウェアのサプライチェーン強化を促した

今年、巨額の資金調達を果たした12社の AI スタートアップ = OpenAI のライバルから業界特化型まで
有料記事 / テクノロジー

また、台湾の半導体大手 TSMC は現在、日本で初めての工場を熊本県に建設中だが、背景には台湾有事への憂慮がある。

台湾有事とは何か?中台関係の歴史と現状を振り返る
有料記事(無料プレゼント中) / 政治

しかし、サプライチェーンの強化と可視化は注目を集めてきたものの、知的財産権などに関連する課題から、その実現に向けては距離があるとされていた。Altana はこうした課題を AI によって解決する見込みを示唆しており、注目の的になっているのだ。

サプライチェーンの脆弱性を解消し、「グローバリゼーションの新時代」に「信頼できるネットワーク」を構築すると謳う Altana とはどのような企業で、なぜ注目を浴びているのだろうか。

Altana とは?


Altana(同社HPより)

Altana は、AI を使用して世界のサプライチェーンの可視化に取り組むスタートアップだ。2018年に創業され、ニューヨークに拠点を構えている。エヴァン・スミスCEO 含む3人の創業者はいずれも、2018年初めに S&P Global へ売却されたサプライチェーン・プラットフォームである Panjiva に所属していた。

続きを読む

この続き: 5,500文字 / 画像2枚

この記事を読むためには、月額980円のメンバーシップに参加するか単体購入が必要です。10日間の無料トライアルで、いますぐ読むことができます。

いますぐ無料トライアル

すでにメンバーシップに入っている方や単体購入されている方は、こちらからログインしてください。

メンバーシップに関するご質問、決済や支払い方法などについては、「よくある質問」をご覧ください。

✍🏻 著者
シニアリサーチャー
早稲田大学政治学研究科修士課程修了。関心領域は、政治哲学・西洋政治思想史・倫理学など。
最新情報を受け取る

ニュースレターやTwitterをチェックして、最新の記事やニュースを受け取ってください。

🎀 おすすめの記事

わたしたちについて

法人サポーターのお願い

👑 法人サポーター

🔥 いま読まれている記事

ニュースレターを受け取る